吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

感想を書かなかった本の記録 PART-4

引き続き(独立した)読書感想をアップしない本の備忘録として残す第四弾。
小説率は一気にアップ!

 

★ 11月に読んだ本(11冊) ★

 

●ヨーロッパ退屈日記 ::伊丹十三
  2011/11/1 読了
  ※気障だなあと思いつつそれが鼻につくこともない。おしゃれなエッセイで
   若い頃に読んでいたらヨーロッパに行きたくなったはず。
   有名俳優との会話が面白い。昔々観たきりの映画「北京の55日」をまた観たい。

 

●これはペンです /円城塔
  2011/11/2 読了
  ※一見難解そうな作品だが、専門外のところは判ったフリをして読んでいればいいと思うし、
   多少理解できる部分も多めだったので今までの中ではわかりやすい作品だった。
   姉妹編の「良い夜を持っている」も収録されており、むしろそちらのほうが好み。
   セットで読むと「これはペンです」の理解度が増すと思う。
   それぞれの作品で描かれる人物は共に扱いが難しそうで(実は親子)親戚にいたら大変だろうが、
   思ったほど害がなさそうで、読後にはむしろとても人間臭くていい人だなと思えるのが不思議。

 

●ピカルディの薔薇 /津原泰水
  2011/11/7 読了
  ※猿渡、伯爵コンビ再登場。しかしお互いの立ち位置が中途半端でフワフワしてしまったかも。
   でも雰囲気はいい。前作もそうだが「甲殻類」に拘る傾向を感じる。
   幼少時に何かあったのだろうか。
   「フルーツ白玉」が最も面白い作品でした。
   女社長・白鳥飛鳥が主役を喰ってしまったような。。。

 

  「夕化粧」「ピカルディの薔薇」「籠中花」「フルーツ白玉」「夢三十夜」「甘い風」「新京異聞」

 

安部公房伝 ::安部ねり
  2011/11/9 読了
  ※本書の著者は、娘であり医者でもある。
   作家として初めてワープロを利用した作家なんですね。ワープロの「文豪」は安倍さんが
   モデルで付けられた名前。
   8インチフロッピーのマシンの写真を見るにつけ本当に時代の先端を走っていたんだと思う。
   安部公房に縁ある人々の簡潔な(簡潔すぎる感もあるが)インタビュー記事も多数掲載されていて
   安部公房の知らなかった一面が垣間見る事ができる。
   十代~二十代前半で読んでいた作家なので当時に比べると印象がだいぶ変わった。
   よくしゃべり、活動的だったんだなあ。未読作品もあるので読まねば。そして、再読しなければ。

 

●袋小路の休日 ::小林信彦
  2011/11/10 読了
  ※連作短編集。大人の小説って感じ。若い頃に読んだらきっと面白くなかったはず。
   響いてくるものがありつつも、10年後くらいに今以上にリアルさを伴って思い出しそうな作品。

 

●第四間氷期 ::安部公房
  2011/11/14 読了
  ※「安部公房伝」をきっかけに再読したくなった。
   読んだ時期が若すぎたので断然今回のほうが楽しめた。
   自分たちが作り出してきたものに裁かれる運命、水棲人間の行き着く先には考えさせられる。
   この作品を肯定的に読み取るか否定的に読み取るか。
   予言機械(スーパーコンピュータ)に任せちゃいけませんな。

 

ニート /絲山秋子
  2011/11/15 読了
  ※最新刊「不愉快な本の続編」を予約していたら、「ニート」で出てきた人物のその後が
   描かれているらしく急遽読んだ。
   「愛なんかいらねー」・・・この短編だけは受け入れられなかった。
   この作品の登場人物が「不愉快な本の続編」の主人公。これを読んで
   予約やめたほうがよかったかと思ったが、読み終わった次の日に順番が来てしまった。
   「ニート」と「2+1」はセットの作品。一番響いてきたのが「ベル・エポック」でした。

 

  「ニート」「ベル・エポック」「2+1」「へたれ」「愛なんかいらねー」

 

星新一時代小説集〈人の巻〉 ::星新一 イラスト::松本大洋
  2011/11/19 読了
  ※再読作品ばかりだが松本大洋とのコラボシリーズなので。三冊目。
   昔は気付かなかったが、「星火瞬く」で魅力的に描かれた小栗忠順が主役の作品があった。
   小栗目線で描かれ、星新一版の「星火瞬く」みたいで楽しめた。

 

●地下鉄は誰のものか /猪瀬直樹
  2011/11/21 読了
  ※そうなんだよ、東京メトロ都営地下鉄は一元化すべき。乗換えが面倒すぎるよ。

 

●不愉快な本の続編 /絲山秋子
  2011/11/22 読了
  ※主人公の乾は「ニート」に収められていた作品「愛なんかいらねー」の登場人物だった男。
   本作では前作以前に何があったのか、前作後にどう過ごしたかが語られる。
   この男に共感するべきところは特に無いが、絲山さんの描く男にはどこか共通点がある。
   「愛なんていらねー」を読んだ時、この作品こそ「いらねー」と思ったものだが、
   突如、現実と虚構の狭間に読み手を導いた挙句、嘲笑うかのような挑発的なラストは
   「愛なんかいらねー」へのマイナス評価を下した者へ向けた著者からの挑戦なのか?

 

ジミーの誕生日 /猪瀬直樹
  2011/11/27 読了
  ※著者のもとに持ち込まれた日記をきっかけに昭和天皇アメリカ、日本の戦後に何があったかを
   解こうとしている。
   初期に天皇関連の作品を多く手がけたため、この作品は著者にとって特別な意味を持つのかも
   しれない。しかし、マクロ的な流れに関しては新しい情報は無く、ミクロ的に別角度から見た
   戦後は興味深くも従来の天皇ものとしては物足りない。
   何より副題「アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」」がちょっと大袈裟かな。



これでようやく追いつきました。
現在読んでいる本は独立した記事にできればいいなと思うのですが、どうなることやら。