吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

津原泰水

夢分けの船

著者:津原泰水出版社:河出書房新社 津原泰水の最後の作品ということもあり、じっくり読み込んだ。 上京して音楽の専門学校に通い始めた主人公。 彼を取り巻く友人や知り合いになった人々との交流が描かれるが、 そこにホラーを思わせるテイストが加わり、 …

ベストSF2022

編集:大森望出版社:竹書房 大森望が選ぶ2021年の短編SFベスト10。(中編がひとつ) なぜか不思議な生き物を扱う作品多し。 良かった作品は酉島伝法の「もふとん」と伴名練の「百年文通」。 眠りの質が悪い者としてか結果がどうあれ取り敢えず「もふとん」…

2010年代SF傑作選1

編集:大森望/伴名練 出版社:早川書房 大森望、 伴名練が選ぶ2010年代のSF傑作選その1。 伴名練の作品「なめらかな世界と、その敵」が面白かったので 本当は伴名練の作品を読みたかったのだが寡作のため とりあえずアンソロジストとしての仕事を拝見する…

ペニス

著者:津原泰水出版社:早川書房 津原作品を読み続けてきたが、この作品に限っては随分前から読むか読むまいか悩ましい存在だった。古書店でも見つけることはできなかったが、図書館にあることは知っていたので、その気になればいつでも借りられる。でも題名…

2016年の印象的な10冊

今年の読了数は74冊。作品数は後で調べます。今年も印象に残った10冊を読了順で書いてみた。 ●パニック・裸の王様 :: 開高健 (2016/1/18読了) ●コドモノセカイ :: 岸本佐知子セレクトの短編集 (2016/1/28読了) 著者12人は後でこっそり書き込むかな? ●暗…

2016年8月の読書リスト

天気が荒れた8月もあっという間に終わりです。久しぶりにいつもより多く読めました。 認知症を発症している母親が心臓ペースメーカーを入れる手術をしました。病院に詰めることが多くてその分、読む時間が増えたってことなんですけどね。手術は無事成功。あ…

2016年7月の読書リスト

夏ですねえ。 2016/7/7読了 ::原子力政策研究会100時間の極秘音源: メルトダウンへの道 NHKETV特集取材班 未見だがNHKの番組が基になっている。 基本「音源」から起こしているので映像の方が理解しやすいのかもしれないが、 口語がまま再現されているので、…

2014年7月の読書リスト

とにかく暑い夏です。酷暑です。本気で熱中症を心配している今日この頃。日本の気候は変わってしまったんだなとしみじみ思う今日この頃。 2014/7/4読了 ::音楽は何も与えてくれない 津原泰水 津原ファンならば、これまでの作品の原点、背景を知ることができ…

2014年2月の読書リスト

他の月より短い2月なのに冊数を読めたのは、読み易い作品が多かったせいもあるが、何と言っても大雪の影響で動かない電車を待つ時間が長かったり、大雪の影響で仕事が思うように進まなくなったりしたおかげ?です。びっくりするぐらい忙しいのに、どうしよう…

2013年6月の読書リスト

5月の「いとう」さん祭りから直木賞と芥川賞候補が2作出ている。ダブルいとう受賞で「いとう」さん祭りが日本中に広がらないかな(笑) 2013/6/1読了 ::たまさか人形堂それから 津原泰水 一作目から比べると、ライトな感覚が増してしまった。会話やキャラが…

2013年1月の読書リスト

図書館の本が押し寄せてくるかな?と慄いて控えていたため、積んでいた本をだいぶ読むことができました。でもまだまだ減らないので頑張らねば。 それにしても銀行のATMで「画面の上に物を乗せないでください」ってメッセージにカチンと来るのは自分だけでし…

2012年11月の読書リスト

2012/11/1読了/ならずものがやってくるジェニファー・イーガン 関連する人々の時代や視点を変えながらの連作集は、様々な手法を駆使しながら切なく、 ところどころ痛く、でもしみじみと心に沁みる様々な人生を見事に描いている。 否が応でも「ならずもの」を…

2012年8月の読書リスト

あっという間に8月も終わりですね。9月は休みたいなあ(ただのボヤキです) 2012/8/4読了/木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか増田俊也 題名が刺激的。とにかく長い作品で返却期間との戦いでした。 奇しくもオリンピックの柔道を横目に読んでいたが、柔…

感想を書かなかった本の記録 PART-4

引き続き(独立した)読書感想をアップしない本の備忘録として残す第四弾。小説率は一気にアップ! ★ 11月に読んだ本(11冊) ★ ●ヨーロッパ退屈日記 ::伊丹十三 2011/11/1 読了 ※気障だなあと思いつつそれが鼻につくこともない。おしゃれなエッセイで 若い…

11 eleven ::津原泰水

津原泰水という人は自分の頭の中に確固たる世界観があって、その中で浮かぶ物語を自分の思い描いたまま自由に表現しているのでしょう。読者は当然この世界観を共有しているよね?とでも思っているかのように説明がほとんど無く、ギリギリまで研ぎ澄ました言…

アクアポリスQ /津原泰水

水没したQ市の沖合いに浮かぶ人工の島、アクアポリスを舞台にしたSFです。コンピュータで完全管理された島と、「空虚」という出来事をきっかけに混沌に陥った日本を「統治府」が支配している。空虚によって「希薄者」となった人々が憑依されると、モンスタレ…

琉璃玉の耳輪 /津原泰水

尾崎翠/原案 年末に読んだ「バレエ・メカニック」が微妙だったため、多少心配しましたが杞憂に終わりました。今年はじめての感想記事がこれでよかったと思います。 原案/尾崎翠となっているが、映画向けの脚本として書かれたものを津原泰水がアレンジして小…

バレエ・メカニック ::津原泰水

全てを読んでいないが、今までの津原作品のエッセンスが散りばめられている。耽美、幻想、奇想、混沌、退廃等々。しかし、結局のところ今まで読んだ事がないタイプの作品だと思う。早いうちにはっきり明言しておきますが、これ、理解しきれていません(笑)…

たまさか人形堂物語 ::津原泰水

祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えた…

少年トレチア ::津原泰水

文庫版の表紙は少年というより青年が描かれている(萩尾望都)ので、内容のイメージがあまり伝わってこなかったが、読み始めは不気味で思っていた以上にグロテスクで嫌~な予感が。。。このペースでこの長編が続いたら辛いかも、と思うような展開です。子供…

綺譚集 --津原泰水

今月、着々と読み進めていた作品ですが、この作家さんは凄いなあ。独特の妖しさとグロさとエロスは、一気に読むよりじっくりと読む短編集だと思う。唐突に始まり、唐突に終わる。それも考えが及ばない言葉でいきなり違う世界に持っていかれる感覚に翻弄され…

蘆屋家の崩壊 --津原泰水

「BOOK」データベースより引用定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨…

ブラバン --津原泰水

「BOOK」データベースより引用大麻を隠し持って来日したポール・マッカートニーが一曲も演奏することなく母国に送還され、ビル・エヴァンスがジョン・ボーナムがジョン・レノンまでも死んでしまった、1980年(昭和55年)。醒めた熱狂の季節に、音楽にイカれバ…