吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2012年11月の読書リスト

2012/11/1読了
/ならずものがやってくる
ジェニファー・イーガン
 関連する人々の時代や視点を変えながらの連作集は、様々な手法を駆使しながら切なく、
 ところどころ痛く、でもしみじみと心に沁みる様々な人生を見事に描いている。
 否が応でも「ならずもの」を意識してしまう年齢になってしまったが、
 だからこそこの作品の味により酔うこともできたのだろう。



2012/11/5読了
/ぼくらは都市を愛していた
神林長平
 「情報震」がもたらした世界にはリアリティを感じたが、
 まわりくどさを感じる刑事たちの「会話」に混乱した。
 その混沌がまたリアルなのかもしれないが。



2012/11/5読了
::爛漫たる爛漫: クロニクル・アラウンド・ザ・クロック
津原泰水
 妖しい津原作品が好みなので物足りなさを感じるが、三部作とは知らなかったので、
 全部出るのを待ってからまとめて読むと面白いのかも。楽しみに待ちます。



2012/11/8読了
::七つの会議
池井戸潤
 仕事をしていれば大なり小なり突きつけられる選択肢「虚飾の繁栄か、真実の清貧か」を
 改めて考えさせられる。気持ちとしては後者でも、前者を選んだ者を
 果たして責めることができるのだろうか。
 短編を積み重ねることで構成され、視点によって変わる登場人物たちの生き様を
 引きずり込まれるように読んだ。
 「空飛ぶタイヤ」とも通じるテーマだが、色々な意味でこの作品の方がより身近に感じてしまう分、
 リアル感が半端ない。



2012/11/13読了
/キネマの神様
原田マハ
 もっと早く読みたかった~。ストレートにいい作品でした。
 ドライアイのはずなのに、涙腺が何度も緩んで緩んで。
 最近は滅多に行かないが、久しぶりに映画館で映画が観たくなりました。
 名画座は身近からいつの間にか無くなってしまったが、この作品を読んで
 とても大事なものを失っていたんだなあと思い知らされた。
 少なくなってしまったが、これからは名画座を頻繁にチェックしよう。



2012/11/24読了
/本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)
桜庭一樹
 相変わらずの読書っぷりだが、今回は大震災が与えた読書の影響の大きさを改めて共有した。
 「この本は今の心理状況では読めない、読みたくない、何を読みたいのだろう」と考えた日々。
 自分で自分を鼓舞しようとしたり、何かできることはないかと考える日々は
 多くの人が体験したことであろうし、桜庭さんも同じだったことを知る。
 勿論、相変わらずの編集者や書店員とのディープな会話が楽しめ、 またまた読みたい本が
 増えてしまった。
 「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」が好きだったのが嬉しかったりして。



2012/11/25読了
/古城ホテル
ジェニファー・イーガン
 「ならずものがやってくる」が面白くて読んだ。ゴシックホラー的であってゴシックホラーではない。
 男爵夫人の登場まで退屈で、第三部でようやく面白くなったが期待が大き過ぎた。
 心理描写は巧いと思う。



7冊読了。