「地下鉄道」「ニッケル・ボーイズ」に続く3冊目。
今までの作品と少しテイストが違い、ノワールなテイストが漂う。
3つの物語で構成される連作集となっている。
舞台は1959年~1964年、ニューヨークのハーレム地区。
家具屋を営むアフリカ系アメリカ人カーニーは従弟のフレディの尻ぬぐいで
盗品の売買にも絡んでいる。
表と裏の世界を行き来しながら生きる主人公と当時の時代背景を描き、
作者が今まで他作品でも扱ってきた人種差別をはじめとする様々な社会問題が
浮き彫りとなる。
実際にあった白人警官による黒人の少年の射殺事件なども織り込まれ、
厚みのある臨場感が伝わってくる。
登場人物たちとのユーモラスかつ諦観漂う会話が面白く、
物語に引き込む緩急の妙は流石。
警官やギャングや権力者や家族との間で翻弄されながらも
綱渡りしつつ逞しく立ち回るカーニーにハラハラしながら楽しめた。
題名はついストーンズを思い起こしてしまうが、内容をよく表わしている。
本作はどうやら3部作となる予定で第2弾が出版されているとのこと。
それも楽しみだが、2011年に出版されていて未訳の「Zone One」という
ゾンビを題材とした作品があるらしく非常に興味深いのだが
邦訳の予定はないのだろうか。