京都を舞台にした女子高校駅伝と草野球大会でのちょっと不思議な青春物語が2作品。
短篇「十二月の都大路上下ル」は方向音痴の1年生が駅伝中に見かける新撰組の
コスプレ集団が現れなければ普通に爽やかな作品。
中編の表題作は草野球を通して過去と現在がうまく共存していて楽しくも切ない。
ラストの心の中でつぶやく
「それから、どうでもいい話をたくさんしよう」でじんわり。
ただ普通を楽しむことの幸福に思いを馳せる。
万城目さんとしては抑え目の作品だが、京都の雰囲気と共に好印象。
「バベル九朔」あたりから徐々に遠のいていて久々の万城目さんだが、
独特の突き抜けた設定が無いせいかかなり読み易かった。
初期の頃の作品に比べると物足りないかもしれないが、
本作は2作品ともとても良かったと思う。
京都の街並みとその歴史が醸し出す不思議さが無理なく描かれていて
いいぞ万城目さん!って感じ
次作も期待しましょうか。