安部公房の作品としてはだいぶ毛色の違う作品です。
果たしてどんな作品かと読み始めましたが、あっという間に引き込まれてしまいました。
夏休みに京都に持って行く本として選んだのですが、歩いたばかりの地名が出てきたりすると妙に嬉しいものですね。
果たしてどんな作品かと読み始めましたが、あっという間に引き込まれてしまいました。
夏休みに京都に持って行く本として選んだのですが、歩いたばかりの地名が出てきたりすると妙に嬉しいものですね。
ノンフィクションか?と思わせるくらいしっかりと幕末の歴史が描かれ、2重3重の仕掛けが施されています。
「私」が北海道旅行に出かけた際に泊まった福地旅館の当主、福地伸六という人物が
脱走した三百人の囚人の伝説を語るところから始まる。
そもそも福地は元憲兵だったのだが、「私」が旅行から帰ってしばらくすると福地が行方不明になったとの手紙と共に「五人組結成の顛末」という顛末記が送られてくる。
本書の内容のほとんどは、新撰組隊士、浅井十三郎ら数人によって書かれたとするこの顛末記である。
顛末記は榎本武揚が海軍の指揮を執りながら、ほとんど何もせず蝦夷に逃れた顛末を糾弾するような内容となっている。
新撰組の土方歳三に心酔していた浅井十三郎の視点で語られる新撰組や幕府軍の敗走していく状況や榎本武揚の行動は、それほど詳しくないですが自分の知る限りの歴史とほぼ合致していると思われます。
さらに時折本物か偽物か判断できないような、当時の新聞の抜粋などが挿入されるため、これはノンフィクションなのだろうか?と思わされてしまう。
「私」が北海道旅行に出かけた際に泊まった福地旅館の当主、福地伸六という人物が
脱走した三百人の囚人の伝説を語るところから始まる。
そもそも福地は元憲兵だったのだが、「私」が旅行から帰ってしばらくすると福地が行方不明になったとの手紙と共に「五人組結成の顛末」という顛末記が送られてくる。
本書の内容のほとんどは、新撰組隊士、浅井十三郎ら数人によって書かれたとするこの顛末記である。
顛末記は榎本武揚が海軍の指揮を執りながら、ほとんど何もせず蝦夷に逃れた顛末を糾弾するような内容となっている。
新撰組の土方歳三に心酔していた浅井十三郎の視点で語られる新撰組や幕府軍の敗走していく状況や榎本武揚の行動は、それほど詳しくないですが自分の知る限りの歴史とほぼ合致していると思われます。
さらに時折本物か偽物か判断できないような、当時の新聞の抜粋などが挿入されるため、これはノンフィクションなのだろうか?と思わされてしまう。
簡略すると「榎本武揚は戦争に負けるために戦っていた」という想像したことのない説が書かれているのだ。
時代の切り替わりに、人間の信じる対象が変わるのは仕方が無い事だろう。
けれども幕府が倒れ、今までの組織が全く逆の立場になってしまうことによって
既存組織に所属していた人間はそれまで持っていた思想や価値観を簡単に変えられるのだろうか。
そして、変えた人間は「裏切り者」となるのだろうか。
けれども幕府が倒れ、今までの組織が全く逆の立場になってしまうことによって
既存組織に所属していた人間はそれまで持っていた思想や価値観を簡単に変えられるのだろうか。
そして、変えた人間は「裏切り者」となるのだろうか。