吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2014年2月の読書リスト

他の月より短い2月なのに冊数を読めたのは、読み易い作品が多かったせいもあるが、
何と言っても大雪の影響で動かない電車を待つ時間が長かったり、大雪の影響で
仕事が思うように進まなくなったりしたおかげ?です。
びっくりするぐらい忙しいのに、どうしよう。。。でも、読んじゃおう。



 2014/2/5読了
 ::読み解かれるD: クロニクル・アラウンド・ザ・クロックIII
 津原泰水
 妖しい津原泰水から入った者としては知らない津原やすみの世界を
 垣間見せられているのだろう。
 自分が若かりし頃に交わした会話を気恥ずかしくも懐かしく思い出させてくれた。
 この作品を読み終わって1時間もしないうちにラジオから村下孝蔵の「初恋」
 が流れ、鳥肌が立った。



 2014/2/8読了
 /影を買う店
 皆川博子
 過去約20年の間に書かれた幻想・奇想の短編を集めた作品集。
 「結ぶ」や「蝶」の流れになるが、そこに「穴」をはじめとする実験的な作品も
 含まれるため、ちょっとバラつき感は否めない。
 しかし、いずれも妖しさ、無邪気さ、残酷さ漂う耽美な皆川世界の濃密さは十分に
 堪能できる。
 「猫座流星群」「夕陽が沈む」が印象的。



 2014/2/9読了
 ::首折り男のための協奏曲
 伊坂幸太郎
 既読作品もあるが、伊坂幸太郎がバラバラの短編を組み合わせてちょっと
 手を加えると別の物語が見えてくるあたり、手品のよう。



 2014/2/11読了
 /ジヴェルニーの食卓
 原田マハ
 印象派のアーティストとその周辺で創作活動を支えていた人たちの短編集。
 ゆったりとした時間の流れ、有名な画家たちを支える幸せで愛情あふれる暖かい
 雰囲気を感じる。
 表題作もいいが、「タンギー爺さん」が一番好きな作品。



 2014/2/13読了
 /峠越え
 伊東潤
 凡庸で小心者の徳川家康が何度となく信長に追い詰められる場面にはつい
 笑ってしまいたくなる。
 本能寺の変の解釈や家臣団との関係性は面白いが、もう少し厚みが欲しいところ。
 「凡庸な己を知る者が最も強い」んだよな。確かに。



 2014/2/17読了
 /終わらない原発事故と「日本病」
 柳田邦男
 昔から柳田邦男さんが繰り返し書き続けたことではあるが、ずっと先延ばしで
 見て見ぬ振りをして来た政治家や官僚や、そして自分たち一人一人が危機意識を
 持たなければいけない。
 亡くなった吉田所長の命がけの対応だけではなく、ミスに対しても検証しているが、
 やはり真摯に事実と向き合う所長のお人柄がこの著書からも伝わってきた。
 原発だけではなく、様々な場面で蔓延している「日本病」。
 とにかくコツコツと対処していかないと、取り返しがつかないところに
 来ているのだろう。



 2014/2/19読了
 ::ON THE WAY COMEDY 道草 袖ふりあう人々篇
 木皿泉
 タクシーに乗った乗客やら幽霊やらの会話など、どの作品もまるで漫才のような
 調子で楽しめた。
 あ、このセリフはあのドラマで使われてたなとニヤリとしたり。
 小さな幸せばかりだけど、ほのぼのした時間を過ごせた。



 2014/2/23読了
 ::ON THE WAY COMEDY 道草 浮世は奇々怪々篇
 木皿泉
 「つんのめる都市伝説」シリーズもバンパイアも良い。
 いやどの話も状況が目に浮かぶようでみんな面白い。
 ラジオで再放送してくれたら嬉しいんだけどなあ。



 2014/2/27読了
 ::心にナイフをしのばせて
 奥野修司
 1969年に同級生を惨殺した高校生Aが少年法に守られ、弁護士として生き、
 被害者家族は謝罪も保障もなく苦しみながら生きていく理不尽さ。
 被害者家族の内面に焦点を当て、加害者側の情報が少ないものの、この不公平感はやりきれない。



9冊読了。