吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2014年1月の読書リスト

あっという間に2月。
1月に読んだ「ジョゼフ・フーシェ」「シスターズ・ブラザーズ」は
早くも今年の10冊に入れたいくらい面白かったが、ようやく読めた「死の淵を見た男」に涙。
俺は一体何をやってんだ?と思わされる一冊だった。



 2014/1/2読了
 /存在しない小説
 いとうせいこう
 それぞれの作品の主題が見え難いが、それぞれの読者に委ねられているのだろうか。
 理解できるところと理解できないところが波のように行ったり来たり。
 その中でも「あたし」が一番良かった。



 2014/1/9読了
 ::ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像
 シュテファン・ツワイク
 常に争い事の最中は態度を明確にせず、勝敗がつくと勝者の側に付くことを
 繰り返し、
 ナポレオンに
「余は一人だけ本当の完全無欠な裏切り者を知っていた、フーシェだ!」
 と言わしめた男。
 先日読んだ二重スパイの元祖みたいだ。
 ツヴァイクの名調子がゲームをやめられないフーシェを見事に描き出していて
 最後まで楽しめた。

 

 ※ツヴァイクツワイク)の文章はしっくり来て、とても好きなんだよな。



 2014/1/13読了
 /死の淵を見た男 吉田昌郎福島第一原発の五〇〇日
 門田隆将
 図書館待ちの間に吉田所長が旅立ってしまった。
 吉田所長がメインの内容だと思っていたが「死の淵を見た男」ではなく、
 「人たち」が正しい題名です。
 現場の方たちのまさに命がけの努力、関係者や家族の方々の苦悩に涙が出た。



 2014/1/18読了
 /シスターズ・ブラザーズ
 パトリック・デウィット
 悪名高きシスターズ兄弟が山師の命を奪うためゴールドラッシュで湧く
 カリフォルニアへ向かう。
 その顛末を語るのは幼さと残虐さを併せ持つ弟のイーライ。
 独特の語り口が西部劇のロードムービーを観ているかのように映像的。
 淡々とした流れとは裏腹に物語的には思わぬ展開で、ユーモアと切なさが去来する
 良作。
 

 

 2014/1/26読了
 /アルモニカ・ディアボリカ
 皆川博子
 「ジョン・ハンター~」に影響を受けて書かれた前作の続編は、完全に
 皆川ワールドとして昇華された。
 混沌としたロンドンを舞台に、終盤に向かうにつれ闇の中から徐々に浮かび上がる
 真実のストーリーに目が離せなかった。



 2014/1/31読了
 /義経いづこにありや
 吉川永青
 「義仲これにあり」で異形の弁慶の話も読みたいと思っていたので念願かなったのは
 嬉しい反面、予想に反して悪党過ぎる(笑)哀れなり牛若、なんて思ってる間もなく
 悪党組、いや義経組の手駒同士の野望が面白い。
 評価が割れそうな設定だが、こんな切り口も有りだと思う。
 「義仲~」では見えなかった陰謀も知ることができ、「義仲~」以上に楽しめる
 作品だった。



6冊読了。