吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

好きな本

2017年4月の読書リスト

気が付くとGWも終わりに。。。。 2017/4/8読了 ::バルタザールの遍歴 佐藤亜紀 買っては積み、読もうとしては閉じを繰り返して数年経つ佐藤亜紀の作品たち。 「吸血鬼」の評価に我慢できず佐藤亜紀の遍歴を開始すべく覚悟を決めた。 今はなぜもっと早く読ま…

2015年の印象的な10冊

今年の読了数は65作品で67冊。今年も印象に残った10冊を読了順で書いてみた。高野さんの名前が二つあるぞ。 ●恋するソマリア :: 高野秀行 (2015/2/16読了) ●宇喜多の捨て嫁 :: 木下昌輝 (2015/2/28読了) ●狗賓(ぐひん)童子の島 :: 飯嶋和一 (2015/3/29…

2014年の印象的な本

今年の読了冊数は83冊(84冊の間違えでした)。あと一冊頑張ってるけど、ちょっと年内は無理かな?ということで今年選んだ10冊。ランク付けではなく読んだ順番。ノンフィクション系ばかり読んでいた気がしていたが、こうしてみると意外に小説も読んでたんだな…

11 eleven ::津原泰水

津原泰水という人は自分の頭の中に確固たる世界観があって、その中で浮かぶ物語を自分の思い描いたまま自由に表現しているのでしょう。読者は当然この世界観を共有しているよね?とでも思っているかのように説明がほとんど無く、ギリギリまで研ぎ澄ました言…

猫を抱いて象と泳ぐ /小川洋子

チェスがらみの作品という事は聞いてましたが、題名とどう繋がるのか疑問でした。わかってみると、いい題名だと思います。 全体を通してとても静かな物語です。屋上の象、バスの中で暮らすマスター、リトル・アリョーヒンの人形、全てが違う切り口で描かれて…

華氏451度 ::レイ・ブラッドベリ

ブラッドベリが1953年当時、に危惧していた先端技術への危機意識がこの作品を書かせたようです。先端技術と言ってもブラッドベリが対象にしていたのはテレビ。ただしその技術の対象を読む時代によって置き換えてさえいけば違和感のなくなる普遍的な作品であ…

炎の眠り ::ジョナサン・キャロル

ぼくは呆然としていた。目の前に、三十数年前に死んだ男の墓がある。そこに彫られた男の肖像が、ぼくだったのだ。そのとき、見知らぬ老婆が声をかけてきた。「ここにたどりつくまで、すいぶん長いことかかったね!」捨て児だったぼくは、自分がなにものなの…

蝶 ::皆川博子

インパール戦線から帰還した男はひそかに持ち帰った拳銃で妻と情夫を撃つ。出所後、小豆相場で成功し、氷に鎖された海にはほど近い“司祭館”に住みついた男の生活に、映画のロケ隊が闖入してきた…。現代最高の幻視者が紡ぎぎ出す瞠目の短篇世界。(「BOOK」デ…

赤朽葉家の伝説 ::桜庭一樹

ようやく出た文庫版。我慢に我慢を重ね、ようやく読めました。 今更説明する必要も無いでしょうが、「辺境の人」に置き去られ、後に「千里眼奥様」と呼ばれる万葉、万葉の娘で暴走族上がりで売れっ子漫画家となる毛鞠、そして毛鞠の娘であり平凡に生きる瞳子…

新ナポレオン奇譚 ::G.K.チェスタトン

1904年に書かれた作品で、舞台は80年後の1984年、イギリス・ロンドンの未来を描いている。80年経っても今と全く変わっていない予言的過去時制というスタイルで書かれ、自分の設定した未来をさっさと否定してみせる。 日々同じ事を繰り返すだけの平和な時代に…

垂直の記憶 ::山野井泰史

昨年読んだ沢木耕太郎の作品、「凍」 で描かれたクライマー自信による著書です。沢木さんの文章は劇的で表現力に関してはプロですから素晴らしい作品でした。 2009年の10冊にいれちゃいましたからね。 自ら挑戦したクライミングのことが7章、それに6つのコラ…

火星年代記 ::レイ・ブラッドベリ

随分前(十代)に読んだっきりなので再読しました。内容はほとんど覚えてなかったのですが、当時の自分としてはきっと退屈に感じて飛ばし読みしたのでしょう。感受性が豊かだったら楽しめたのかもしれません。が、再読してみて今なら断言できます。やはり名…

ハーモニー ::伊藤計劃

本作は「虐殺器官」、「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」で描かれた混乱を経た後に選択された世界を描いている。今まで彼が描いてきた世界観が非常にわかり易く、そして彼の心の最深部が最も如実に描かれた作品だと言えそうだ。 「虐殺器…

ペンギン・ハイウェイ ::森見登美彦

小学4年生のアオヤマ少年とウチダ君とハマモトさんが体験するワンダーランドは今までのモリミーワールドの子供版であり、そして新しいモリミーワールドでもありました。あちらこちらに見られるモリミーらしい何気ないそして巧い表現力は、ますます磨きがかか…

天地明察 --冲方丁

舞台は徳川家綱の時代。先日読んだ飯嶋和一氏の作品は島原の乱。島原の乱が終息した後に生まれたのが本作の主人公である渋川春海。この流れで読んだのは偶然だったが、同じ時代であってもひたすら重くのしかかる主題を描く飯嶋作品とからっと爽快で夢や希望…

出星前夜 --飯嶋和一

「円を創った男」で大隈重信についてよく知らなかったと書いたが、この作品も同様で、島原の乱とか天草四郎などの歴史上の出来事や人物に関しては知っているようで知らないことばかりだったことを痛感した。「魔界転生」とかが真っ先に浮かんでくるもんなあ…

虐殺器官 --伊藤計劃

ゼロ年代のSFを読んでみたくて気になっていた作品を読みました。テロとの戦いを繰り広げているアメリカの情報軍、特殊検索群i分遣隊大尉であるクラヴィス・シェパードが大量殺戮に関係していると見られる謎の男、ジョン・ポールを追って紛争地域に潜入する、…

綺譚集 --津原泰水

今月、着々と読み進めていた作品ですが、この作家さんは凄いなあ。独特の妖しさとグロさとエロスは、一気に読むよりじっくりと読む短編集だと思う。唐突に始まり、唐突に終わる。それも考えが及ばない言葉でいきなり違う世界に持っていかれる感覚に翻弄され…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 --万城目学

かのこちゃんは小学一年生の元気な女の子。マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。 (「BOOK」データベースより引用) 書店でパラパラとめくった時の第一印象は、「か~るく読めそ…

月の骨 --ジョナサン・キャロル

あたしはとっても幸せ。この世でいちばんすてきな旦那さまがいるし、おなかには二人の赤ちゃんも。でも最近、変な夢を見はじめた。ロンデュア、これが夢の世界の名前。あたしとあたしの息子のペプシは、五本の月の骨を探すためにその世界に帰ってきたのだ。…

凍 --沢木耕太郎

極限のクライミングを描く、究極の筆致。『檀』から十年、最新長編作品。最強の呼び声高いクライマー・山野井夫妻が挑んだ、ヒマラヤの高峰・ギャチュンカン。雪崩による「一瞬の魔」は、美しい氷壁を死の壁に変えた。宙吊りになった妻の頭上で、生きて帰る…

高丘親王航海記 --渋澤龍彦

貞観七(865)年正月、高丘親王は唐の広州から海路天竺へ向った。幼時から父平城帝の寵姫藤原薬子に天竺への夢を吹きこまれた親王は、エクゾティシズムの徒と化していたのだ。鳥の下半身をした女、犬頭人の国など、怪奇と幻想の世界を遍歴した親王が、旅に病ん…

幼年期の終り --アーサー・C・クラーク

異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新た…

安徳天皇漂海記 --宇月原晴明

壇ノ浦の合戦で入水した安徳天皇。伝説の幼帝が、鎌倉の若き詩人王・源実朝の前に、神器とともにその姿を現した。空前の繁栄を誇る大元帝国の都で、巡遣使マルコ・ポーロは、ジパングの驚くべき物語をクビライに語り始める。時を超え、海を越えて紡がれる幻…

世界の中心で愛を叫んだけもの --ハーラン・エリスン

「百年の誤読」で豊崎先生が例の「セカチュー」を叩いた時にこの作品を読まねばと思い、速攻で積んでおいたのですが読んで大正解。まったく意図しなかったものの、ディックの「流れよ我が涙、と警官は言った」を読んだあとにこの作品をセレクトしたために図…

死者の書 --ジョナサン・キャロル

2冊続けて消化不良気味だったので、がっつり目先を変えようと混沌とした我が書棚から未読作品を探すことに。ライバルたちを蹴落として引っ張り出したこの本。ああ!早く読んどけば良かった!大いに反省。きっとまだまだ良書が埋まっているに違いない!! ぼ…

風が強く吹いている --三浦しをん

ここまでやるかってくらいのストレートな青春群像ストーリーでした。正月を酒浸りで過ごすため、箱根駅伝の中継は大抵見ていません。見てもボーッとテレビ画面を見ているだけで内容は把握していないことがほとんどです。 簡単に言ってしまえば寛政大学の学生…

肩甲骨は翼のなごり --デイヴィッド・アーモンド

引っ越してきたばかりの家。古びたガレージの暗い陰で、ぼくは彼をみつけた。ほこりまみれでやせおとろえ、髪や肩にはアオバエの死骸が散らばっている。アスピリンやテイクアウトの中華料理、虫の死骸を食べ、ブラウンエールを飲む。誰も知らない不可思議な…

有頂天家族 --森見登美彦

宵山万華鏡の前に読みたかったのですが、ようやく古書店で見つけることができました。 そうか、京都は人間と狸と天狗が三つ巴で生きている場所だったのか。今までの森見作品のいろんな謎は、この作品で解決した気がする。他の作品で不思議な能力?を発揮して…

始祖鳥記 --飯嶋和一

空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の江戸天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。その“鳥人”幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀の悪政に敢然と立ち向かった―。ただ自らを貫くために空を飛び、飛ぶために生きた稀…