吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

好きな本

サクリファイス --近藤史恵

今更ながらようやく読むことが出来ました。雑誌「Story Seller1-2」の「プロトンの中の孤独」、「レミング」とサクリファイスの外伝から入ったので時系列に沿って読んだことになります。おかげで自転車のロードレースをよく知っているような錯覚を覚え、すん…

宵山万華鏡 --森見登美彦

「BOOK」データベースより引用祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と…

シャムロック・ティー --キアラン・カーソン

「琥珀捕り」に続いて読みました。読み終わってしまいました。でも読んで良かった。 以下本文より引用 「彼はまず、画板を百の四角に区分けする。それぞれの四角に番号をつけて小さな手控え帖に書き付ける。しかるのちに、これらの四角をさまざまな色で塗り…

マイナス・ゼロ --広瀬正

「BOOK」データベースより引用1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械―それは「先生」が密…

きつねのはなし --森見登美彦

新潮社Webサイトより引用「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やが…

海竜めざめる --ジョン・ウィンダム

ジョン・ウィンダム + 星新一(訳) + 長新太(イラスト) の組み合わせである。これだけで買いである。ちなみにこのシリーズを監修しているのが大森望。見事な仕事だなあ。もともと星新一さんが訳したバージョンが存在していたのですが、別途子供向けのシリ…

神無き月十番目の夜 --飯嶋和一

「BOOK」データベースより引用慶長七年(一六〇二)陰暦十月、常陸国北限、小生瀬の地に派遣された大藤嘉衛門は、野戦場の臭気が辺りに漂う中、百軒余りの家々から三百名以上の住民が消えるという奇怪な光景を目の当たりにする。いったいこの地で何が起きたの…

アンドロイドは電気羊の夢を見るか --フィリップ・K・ディック

本作は遠い昔(多分、十代だと)読んだきりで、再読用に数年前から積んでおいたものです。これを原作に制作された映画「ブレードランナー」は好きな作品でしたが、原作とのつながりは感じられない別物でした。 昔読んだ時の印象は、「地球に紛れ込んだ、人間…

琥珀捕り --キアラン・カーソン

「BOOK」データベースより引用ローマの詩人オウィディウスが描いたギリシア・ローマ神話世界の奇譚『変身物語』、ケルト装飾写本の永久機関めいた文様の迷宮、中世キリスト教聖人伝、アイルランドの民話、フェルメールの絵の読解とその贋作者の運命、顕微鏡…

雷電本紀 --飯嶋和一

相撲に関する小説やノンフィクションは読んだ記憶がなく、相撲もので思い出すのは、さだやす圭さんの「ああ播磨灘」という漫画と周防監督の映画「シコふんじゃった」くらいでしょうか。相撲のシーンを小説で読んでも面白くないと思ってましたが、なんてこと…

汝ふたたび故郷へ帰れず --飯嶋和一

「BOOK」データベースより引用故郷とは、人に何をもたらす場所なのか?「読む者をリングに立たせる」と言われた迫力満点のボクシング小説でありながら、人と風土との関わりを深く見つめた傑作―故・江藤淳氏が選後評で「いつの間にか引き込まれていた」と語っ…

黄金旅風 --飯嶋和一

「BOOK」データベースより引用江戸寛永年間、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に、二人の大馬鹿者が生まれた。「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたこの二人こそ、のちに史上最大の朱印船貿易家と呼ばれた末次平左衛門(二代目末次平蔵)とその…

アラビアの夜の種族(上中下) --古川日出男

文庫版になって間もなく購入したのですが、今まで手を出せずにいました。躊躇の連続でした。しかし、今年じっくり読む必読作品として浮かんでいた筆頭でもありました。やはり古川作品の3巻分の文章というのは考えるだけで覚悟がいります。そしてついに、じっ…

夜は短し歩けよ乙女 --森見登美彦

今年の読書始めの作品でしたが、大正解でした。「夜は短し歩けよ乙女」「深海魚たち」 「御都合主義者かく語りき」「魔風邪恋風邪」の4章構成。次を読みたい気持ちをおさえながら元日から4日まで、1章ずつゆっくり読みました。おかげで神社で達磨を見かける…

ボートの三人男 --ジェローム・K・ジェローム

去年の9月に買っていたのですがようやく読めました(笑)コニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」を読んでから気になりつつ先延ばしにしてたのですが、今年中に必ず読むんだと決めていたのでギリギリセーフです…

空飛ぶタイヤ --池井戸潤

なぜかやたらと忙しい今日この頃、2段組500ページ弱のボリュームは躊躇したのですが、読んでよかったです。こんな時期だからこそ頑張る人の話は自分にとっても力になりました。睡眠時間はかなり削られてしまいましたが、それぐらいの価値は十分ありました。…

野性の呼び声 --ジャック・ロンドン

光文社Webサイトより引用ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがて…

信長|イノチガケ --坂口安吾

「イノチガケ」「島原の乱雑記」「鉄砲」という短編と「信長」という長編の4編が収められています。 「BOOK」データベースより引用「死のうは一定」―姑息因循な“時代”の壁を蹴破り、闊達自在の“自由”を生きた、先駆する“近代”織田信長。天下周知の笑い者が…

夏への扉 --ロバート・A・ハインライン

自分への宿題のつもりで8月中に読み終わる予定でいたのですが、何とか間に合いました。夏休みの読書感想文ってかんじで(笑)本書はちょうどいいかもしれないと思っていたもので。記事は今日になってしまいましたが。。。。 久しぶりに再読したのですが、や…

高熱隧道 --吉村昭

暑い夏ですが、本書を読むと申し訳なくて暑いなんて愚痴、言えなくなってしまいます。なんて書きながら軟弱なのですぐに「暑い」を連発してしまう自分が情けない。。。 本書説明より引用 黒部第三発電所-昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒…

零式戦闘機 --柳田邦男

柳田邦男の代表作は沢山ありますが、中でも「零式戦闘機」(ゼロ戦)のような技術モノのノンフィクションはとても興味深く読んだものです。内橋克人さんの匠の時代 同様、のめり込むように読んだ一冊です。 子供の頃、ゼロ戦のプラモデルとか作るのも好きだ…

開幕ベルは華やかに --有吉佐和子

有吉佐和子といえば多くのベストセラーを生み出した人ですが劇作家としても評価の高い人ですね。「笑っていいとも」の番組ジャックの記憶は鮮明に残っています。 「複合汚染」 「開幕ベルは華やかに」の2冊しか読んでいませんが、若い頃に読んだきり他の作品…

ほしのはじまり―決定版星新一ショートショート --星新一(著), 新井素子(編)

半年がかりで読み終えました(笑)色んな本を主食として読みながら、おやつのように間食しながら読んだもので。。。。でも贅沢なおやつでしたよ。主食よりも面白かったりして(笑) 星新一の本(ボッコちゃん、午後の恐竜)は結構読んでいますが、ほとんど読…

反逆(上、下) --遠藤周作

このたび「のぼうの城」を読み終わったので、自分の中で読みながら浮かんだ、過去に読んだ本を2冊(共に上下巻なので4冊なのですが・・)一緒に感想を書いてしまいました。ひとつめが遠藤周作の「反逆」、もうひとつが堺屋太一の「巨いなる企て」です。時代…

ワセダ三畳青春記 --高野秀行

酒飲み書店員大賞?第一回受賞作!!なんと私をそそる賞なんでしょうか(笑)初めて知りました! 「BOOK」データベースより引用 三畳一間、家賃月1万2千円。ワセダのぼろアパート野々村荘に入居した私はケッタイ極まる住人たちと、アイドル性豊かな大家のお…

マッハの恐怖、続・マッハの恐怖 --柳田邦男

小学生から中学生にかけて、将来就きたいと漠然と考えていた職種がいくつかりましたが、その中でも飛行機の操縦士には特に惹かれていました。きっかけは「ゼロ戦」好きだったからなんですが。パイロットは今でも人気職種なのだろうか。初期作品を振り返るシ…

人間以上 --シオドア・スタージョン

先日書いた ヒューマン・ファクター の感想の中で「人によって持っているパラメータは違う。読む人によって、当然でてくる解答(感想)は変わってくる。」と、書きました。実はこの「人間以上」こそ、この言葉が似合う作品なのではないかと思います。 学生の…

犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 --コニー・ウィリス

長いけど「BOOK」データベースより引用します。オックスフォード大学史学部の学生ネッド・ヘンリーは、第二次大戦中のロンドン大空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂の再建計画の資料集めの毎日を送っていた。だが、計画の責任者レイディ・シュラプネルの命…

アクロイド殺人事件 --アガサ・クリスティ

本作を読んだのは、中学生のときでした。小学生のとき、先輩の中学生に「グリーン家殺人事件」「Yの悲劇」(もしかしたら「Xの悲劇」かな?)を勧められて読んだがさっぱりわからないし、外国人の名前が覚えられなくて正直つまらない印象しかなかった。だか…

冷血 --トルーマン・カポーティ

ゲイ・タリーズとトルーマン・カポーティを読むと手法の違いがはっきりしていて面白い。タリーズの 「汝の父を敬え」 がニュー・ジャナリズムの代表作ならば、カポーティの「冷血」はノンフィクション・ノベルの代表作でしょう。完成までにタリーズは7年、カ…