吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

黄金旅風 --飯嶋和一

「BOOK」データベースより引用
江戸寛永年間、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に、二人の大馬鹿者が生まれた。
「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたこの二人こそ、のちに史上最大の朱印船貿易家と呼ばれた末次平左衛門(二代目末次平蔵)とその親友、内町火消組頭・平尾才介である。
卓越した外交政治感覚と骨太の正義感で内外の脅威から長崎を守護し、人々に希望を与え続けた傑物たちの生涯を、三年の歳月をかけて、壮大なスケールで描いた熱き奔流のような一千枚!
飯嶋和一にハズレなし」と賞される歴史小説の巨人が描いた、一級の娯楽巨編。



この作品は単行本で購入してずっと積んでました。おかげで文庫もでてしまいました(涙) 読み終わって思ったことは、いや読みながら思ったことは、なぜもっと早く読まなかったのか。

 大後悔しました。そちらのほうが悲しい。

重厚なうえ、長編。時代小説のため読みにくい人名など多い。外国名も漢字で書かれているし。 それでも読みはじめて間もなくこの世界に熱中していました。

 読んでいる間に他の飯嶋作品を収集しないわけにはいきませんでした。

簡単に書けば海洋貿易の拠点である長崎を舞台に、職権を濫用し、私腹を肥やし利権を得ようとする長崎奉行・竹中重義に対し、代官、末次平左衛門が対峙する話しです。

 子供の頃は手の付けられない悪童だった平左衛門と、火消組頭の平尾才介がそれぞれ成長し長崎を守るために奔走している姿は魅力的だ。

 私財を投げうって、命を賭して長崎市民を助けようとする二人のなんと爽やかなことだろう。 

長崎にだけとどまらずに海外諸国にまで広げられた展開のスケールの大きさ、骨太さ、そして清廉さ。

 この痛快さ、心地よさは、読んで良かったと心から思わせてくれました。

 ただ、二人の男の話しというよりは大きな歴史の中の1ページを切り取って見せてくれている、とも感じました。

読書の醍醐味を味わえる読み応え充分の作品でしたが、読むにはパワーが必要かもしれません。 サクサク読むことはできません。好き嫌いも分かれそうです。

私は、いい作家さんに出会ったようだ、と思いました。