吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

人間以上 --シオドア・スタージョン

先日書いた ヒューマン・ファクター の感想の中で
「人によって持っているパラメータは違う。読む人によって、当然でてくる解答(感想)は変わってくる。」
と、書きました。
実はこの「人間以上」こそ、この言葉が似合う作品なのではないかと思います。

 

学生のとき読んだSFなのですが最初に読んだとき、全く意味不明でした。
これに似た感覚は、映画「2001年宇宙の旅」のラストで味わいましたが、
そのラストの感覚が全篇に漂うとでも言うのでしょうか。

 

「ホモ・ゲシュタルト」という新人類というかミュータントが主役です。
古い作品ですが、「サイボーグ009」という漫画のモトネタになった作品だそうです。
読んだときには知りませんでしたが、確かに設定を考えるとその通り。



本書の主役たちは、全員疎外された孤独な存在です。
一般には溶け込めず、ひとりでは生きていくことのできない存在です。
テレパシーを持つ者や、テレポーテーション能力を持つ者、
コンピュータ以上の頭脳を持っている赤ん坊・・・
特殊能力を持っているのですがそんな能力の持ち主たちが集団になり、
補完し合おうことで初めて「ホモ・ゲシュタルト」としての能力を発揮できるのです。

 

そんなホモ・ゲシュタルトの誕生から人類との関わりのストーリーです。
そう、決して難解なストーリーではないのです。
ところが、通常の人間とは異質の人たちの葛藤と、道徳感のようなものを通して
人間とは何ぞやみたいなことを考えさせられるというか、突きつけられるというか・・・・
そもそも、この「通常の人間の基準」っていうのを私は明確にはできないがために
本作を難解に感じたのでしょうか。



読んでから20年以上たつのに、今でも手近な本棚にあるのは
ずっと何かが引っかかっている感じで、とても気になるからなんでしょう。
表紙の不気味な赤ん坊も頭から離れません。
これも映画「2001年宇宙の旅」とリンクしてるのか・・・?と、書きながら勝手に思いました。
もっとも今の表紙は全然違うようです。

 

たまにぺらぺらとめくってみてはつまみ読みはしていたのですが、
もう少し余裕ができた頃に落ち着いてゆっくりじっくり、通して読みたいものです。

 

こんな書き方すると、コムズカシイ本に違いないと思われそうですが、
結構面白い作品なんですよ。名作だと思うんです。
自分の感想を読み返したら誤解を招きそうな書き方をしているのですが
これは私の文章能力の足りなさ故のことですので。。。。



ただ、やっぱり、最初に戻ります。
「人によって持っているパラメータは違う。読む人によって、当然でてくる解答は変わってくる。」と。




書きながら、「早く人間になりた~い」というフレーズが頭の中でリフレインしているんですが

 

それは「妖怪人間ベム」!!