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モルグ街の殺人・黄金虫 --エドガー・アラン・ポー

モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編

 

「BOOK」データベースより引用
史上初の推理小説「モルグ街の殺人」。パリで起きた残虐な母娘殺人事件を、人並みはずれた分析力で見事に解決したオーギュスト・デュパン。彼こそが後の数々の“名探偵”たちの祖である。他に、初の暗号解読小説「黄金虫」、人混みを求めて彷徨う老人を描いたアンチ・ミステリ「群衆の人」を新訳で収録。後世に多大な影響を与えた天才作家によるミステリの原点、全6編。


ゴシック編「黒猫・アッシャー家の崩壊」に続いて2弾目を読みました。
「モルグ街の殺人」「盗まれた手紙」「黄金虫」は再読なのですが、ミステリの原点ですし、だいぶ忘れているため改めて楽しむことが出来ました。(いずれも十代の頃に読んだもので。。。)

「モルグ街の殺人」はあまりに有名すぎるのですが、犯人の意外性に驚いた初読時とは違い、今回は忘れていた過程を吟味できました。
「盗まれた手紙」に関しても結論は覚えていたので人間の心理的な部分に目を向けることができました。
「黄金虫」は初読時には難解だったのですが、暗号の説明が理解でき、大人になったものだなあと思います。
でもやっぱり途中から読むのが面倒になりましたが。。。(成長してないじゃん!)

 

多分、他の三作品は読んだ事がないと思います。記憶が全くありませんでした。

 

「群集の人」はミステリではないのですが、なぜミステリ編に?
でもなぜか気になる作品で老人の行動からなんとも言えない哀しさ、寂しさみたいなものを感じます。
もう少し歳を重ねると何かを切実に感じ取れそうなストーリーです。

 

「お前が犯人だ」は死体を使って意外な犯人をあぶり出してしまいます。
ミステリではこんな手法も今では普通にあるのかな?

 

「ホップフロッグ」はポーの作品としては非常に判り易い寓話的作品ですね。
意地の悪い国王と家臣たちに仕える道化師の復讐劇です。
人種差別を暗示している作品でしょうが、これもミステリ編に入っているのはどうかと思います。
ちょっとやり過ぎだろうと思いつつも道化師に肩入れしてしまいます。
中途半端な復讐は自分の身の安全を脅かすことにもなりますしね。

 

ミステリレベルの低い者としては原点から勉強しよう、な~んて思っているわけでは有りませんが、昔読んだだけでは理解できなかったことが見えてきて面白い読書でした。
この新潮文庫のポー短編集は今後も続くのかは不明ですが、できるだけ追いかけたいと思います。