吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

夏と花火と私の死体 --乙一

さて、新年度そうそう目がさめるようなパンチを喰らったのですが、心機一転です。

ということで、4月ですね。今更ですが(笑)
街のあちこちにルーキーズが闊歩しているのが目に付きます。
私にもあんな時代が・・・しばし遠くを見てしまいましたが、
それにちなんで、新旧の作家の初期作品を少しの間取り上げようと思います。


第一弾は乙一にしてみました。

乙一の名前は良く聞いてましたが、ホラーのイメージが強かったので特に興味を持っていませんでした。
ただ、多くの書評を読むに当たり、評判がいいのでどうなんだろうと徐々に興味が涌いてきました。
読まず嫌いはよくないなあ、と思い、自分で判断することにしました。
本屋で適当に何冊かのページをめくってみると、どれも読みやすそうだな・・・
どうせ読むならデビュー作から。


読み始めてすぐに語り部の9歳の女の子が死んでしまいます。
あっという間だな、と思いながらも話は淡々と続きます。
語り部が変わらないまま・・・・

あれ?っと思うのですが、やけにスムーズに進行します。
死者が語り部になっているにもかかわらず・・・

語り部の女の子の視点から、女の子を殺したお友達とそのお兄さんが死体を
ゲームのように隠し続けているのを見ている。
そのお兄さんがやけに冷静なのが不思議だった。
その冷静さにはきっと意味があるに違いないと読み進めたが結局説明はなかったんですが。
ある意味そこが一番怖いのか?


正直な話、ちょっと無理がある展開かなあ、
ラストへのちゃんとした伏線がなかったなあ、(もしかして見落とした?)なんて思いましたが、
デビュー作だから荒削りなのはある程度仕方がないか・・・

本作が16歳で書かれた作品ということは考慮しないといけないですよね。

その若さで昭和テイスト?の雰囲気が良く表現されていたのではないかと思いました。
それにやはり視点の切り替わり、アイデアは適度にまとまっていて、期待以上に楽しめました。
思ったとおり、あっという間に読めたし。

あと、雰囲気をより感じるために夏に読めば良かったかな?



この本にはもう一作「優子」という作品があるのですが、
時代状況の雰囲気は「夏と花火と私の死体」以上によ~く感じることができました。
若いのになかなかやるな、と思います。
でも、やりたいことはわかるけど・・・って感じでもあります。残念賞。


ただ、なんだかんだ言っても、今後も読んでみたい作家だな、と思いました。
今はどんな作品を書いているのだろうか?と、興味はより涌きました。

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