吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

六番目の小夜子 --恩田陸

今回突然命名しましたが(笑)、初期作品シリーズ第二弾は恩田陸
まだそれほど冊数は読んでないのですが、分冊が多いので沢山読んでる気になっています。
私が読んでる中では例えば「上と外」で6冊、「蛇行する川のほとり」で3冊ってこれだけで9冊。
それぞれは短いんですけどね。



「BOOK」データベースより引用
津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。
高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。
そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。
やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。




本書で描かれる、学校で代々受け継がれている「小夜子」の言い伝えと儀式は、
ある時期の、学校という異空間でこそ成り立つ。

 

ゾクゾクする不思議なできごと、転校生、明るい空間のなかに潜むほの暗さ。
これらのキーワードで構成される恩田陸の独特の雰囲気の表現力は、
デビュー時に既に完成していたのかもしれません。



夜のピクニック でも書きましたが、恩田陸の描く学生は魅力的で、
多くの人が思い浮かべるだろう理想的な人物が多いように思えます。
男女とも少女漫画的でそのイメージは年代を越えているのではないでしょうか。
だから私のような少女漫画に疎いオッサンが読んでも、どこか懐かしさを感じることができるのではないかと。
まあ、こんな主人公たち、なかなかいないでしょうけど(笑)

 

学園ものというか、青春小説っぽく読めばこれは合格点をポンと上げられる。
最大の盛り上がりである学園祭の演出は良くできているなと思いました。

 

が、

 

謎として盛り上げていたはずの転校生の周りで起きていたことの説明が一切ないのはなぜか?
転校生は何らかの「力」を持っていたのではないのか?
「犬」はなんだったのか?

 

ただの思わせぶりなのか、本当はもっと怖い続きが提示されているのに
私が解答を見逃してしまったのでしょうか・・・



個人的には気に入った作家は集中して読む傾向があるのですが、
恩田陸は一定期間を置きながら読み続けていきたいな、と思っています。
恩田ワールドは懐かしい友達に会う様に、定期的に味わいたくなるような気がします。