吉祥読本

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酩酊混乱紀行「恐怖の報酬」日記 --恩田陸

それほど恩田陸を読んでいない私がこれを手にしたのは恩田陸を知ろうとしたというより、
舞台がロンドンだったからです。
ロンドンにはかれこれ15年位前、旅行したのですが、それ以来海外に行けず今に至り
ロンドンに再度行きたいなあと常々思っているためか、うっかりひかれてしまうのです。
(それ以前に返還前の香港に行っているので、イギリスしか行った事がない。。。)

 

そんなことはどうでもいいですね。

 

本作は紀行文でして、以下のように章立てがあります。

 

 *イギリス・アイルランド
 *麒麟麦酒横浜工場
 *札幌落雪注意
 *オリオンは新年、東の空から昇る

 

と、まあ、ビール三昧である。
(イギリス・アイルランド以外は文庫本で併載されてるようです)



恩田陸、こんなに飛行機が嫌いだったんですね(笑)
それが表題の「恐怖」の正体なのですが、パニックぶりが面白い。

 

パイロットになりたいと思っていた子供時代を持つ私としては、当然飛行機に乗るのが好きなので
このパニックに関してはあまり理解できないのですが、まあ、確かに鉄の塊が飛ぶっていうのはねえ。

 

「上と外」 でヘリコプターからジャングルに落ちるシーンは、
きっと恩田さん自身が想像している落下の恐怖をリアルに書いたに違いない、と思いました(笑)



恐怖のあまり綴られる文章(というか妄想)と、「報酬」のビールのことばかりなのですが(笑)
実は彼女の読書暦や映画鑑賞暦などが散りばめられたりしていて、そこら辺りも楽しめました。

 

例えば 「岬一郎の抵抗」デビルマンの「ジンメン」のこととか、
「ディファレンスエンジン」 のこと、それに映画「風と共に去りぬ」、「アラビアのロレンス」、「大脱走」等々、
ちょっとしか言及していないのに、いちいちおお~、と親近感が涌いてくるのだ。懐かしスイッチが入るのだ。
第二次大戦で活躍したゼロ戦パイロット坂井三郎のことまで、おお~である。

 

そう、同世代だから考えている事や見てきたものの共通点が多いに違いない!!



そして酒飲みってところもいいねえ。一緒に行きたいねえ、パブに。
結構いけるクチなんですねえ(笑)。。。親近感親近感仲間仲間

 

あとあと、よく声をかけられる らしい(笑)
恩田陸は声をかけられるだけではなく、案内までしてしまうらしいから私よりも上級だ。
もしどこかで出会ったら、外国人のふりをしてでも絶対声をかけてやろうと思った(笑)
(ちなみに私はロンドンでも声、かけられましたよ。日本人に)

 

何となく、恩田陸には今まで取り澄ましたお堅いイメージを勝手に持っていたわけですが
思いっきり親近感涌きまくりでした。

 

この本を読んですっかり恩田さん自身のファンになりました(笑)
作品のファンになれと叱られそうですが、作品に関してはこれからも着々と読もうと思っていますので。
恩田さん自身のことをある程度知っておくと、優しい(笑)気持ちで読めるのではないかと。。。。

 

飛行機嫌いで酒飲みって事ぐらいしかわかってないじゃあないか、との声も聞こえそうなので
他のエッセイ(小説以外、でしたっけ)も読んで理解度を上げようと思っています。

 

だから小説も読めって?。。(笑)




ああ、ロンドンにまた行きたいな~