吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

隅の風景 /恩田陸

酩酊混乱紀行「恐怖の報酬」日記で見事なビール好きを披露していましたが、
飛行機にだいぶ慣れてきたのかアチコチに足を延ばしているじゃありませんか。

 

ロンドン、チェコ、韓国、中国、スペイン、国内(郡上八幡、日光、阿蘇など)を巡る紀行文です。
それにしても相変わらずビール話が多くて親近感は今回も湧きまくりです。
呑むだけではなく食べも食べたりって感じです。久しぶりに馬刺しが食べたくなりました。
もしかして自分がよく行く店に来たことがあるかもしれない?と気になる記述があったので
今後店に行ったらキョロキョロしておこう(笑)多分違うと思うが・・・

 

飲食の話以外にも旅先で読む本や、本に対する思いなど面白おかしく、時に真面目に語っているが
恩田さんの人柄や意外な内面が透けて見えてくる。
カポーティ「冷血」を持参していたようだが、たしかに海外で読むほうがより感覚が
研ぎ澄まされそうな作品かも。

 

チェコ篇ではカレル・チャペックとG.K.チェスタトンの往復書簡で成立するミステリ
木曜の男の邂逅」という題名、それどころか装丁まで考える緻密な妄想(笑)を語っておきながら
「誰かに書いて欲しい」と投げているが、是非ご自分で書き上げて欲しいものだ。
そしたら絶対買いますよ~

 

巻末には親切にも「付録・旅のブックガイド」と銘打って恩田さんのお奨めする「旅の本」が
挙げられている。
個人的には本書もこのリストに加えていいのではないかと思う。
いつでもビールが飲みたくなるだろうが。。。嘘つきました。読まなくても飲みます(苦笑)
ちなみに旅のブックガイドで読んでいたのは池澤夏樹さんの「パレオマニア」だけでした。
伊丹十三さんの「ヨーロッパ退屈日記」は積んだままなので、これを機会に重い腰を
上げようかと思います。



しかし飛行機嫌いだったのによくもここまで海外に出かけられるようになったものですね~