吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

【ま行】の作家

ぐるぐる問答(森見登美彦氏対談集)

著者:森見登美彦出版社:小学館 読み損ねたので文庫でゲット。伊坂幸太郎との対談などが追加されているのでちょっとお得。同業者同士の対談もいいけど色々な分野の人との会話で普段よりテンションの高いモリミーが出ていた気がする。万城目学との仲良しな会…

ゆめこ縮緬

著者:皆川博子出版社:KADOKAWA 大正、昭和初期を舞台に耽美で妖しい世界を浮かび上がらせる8編はいずれも濃密な匂いが漂う。ほとんどの作品で1行目を読んだ途端引き込まれる確率の高さには参る。馴染みの薄い古い言葉が妙に心地よく、その場で自分が息をひ…

暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史

著者:牧久出版社:小学館 松崎明という革マル派が労働組合を利用しながら国鉄、JRを牛耳っていたという事実にうんざりする。その昔、本書でも参考にされている立花隆の「中核VS革マル」を読んだが、その時の内ゲバや対立、分裂がそのまま国鉄、JR内で展開さ…

偶然の聖地

著者:宮内悠介出版社:講談社 試行錯誤しながら読んでいたら時間がかかってしまった。本文を読みながら注釈を読むとリズムが崩れて意味不明となってしまうので章を一気読みして注釈を読みに戻り、注釈を読んでからその前後を読み直す、の繰り返しで落ち着い…

開かせていただき光栄です /皆川博子

18世紀の古きロンドンを舞台にしたミステリー作品です。 外科医をしながら私的解剖教室を開くダニエル・バートンとその弟子たちの周辺で奇怪な事件が起きる。 容姿端麗なエドワード・ターナーや天才細密画家であるナイジェル・ハートら優秀な弟子たちがダニ…

偉大なる、しゅららぼん ::万城目学

先般読んだ「プリンセス・トヨトミ」は期待が大きすぎたこともあり、微妙な感想になってので今回はあまり期待しないで読みました。ところがどっこい、今回はまたまたいい意味で裏切ってくれました。面白いじゃないですか!個人的には甲乙つけ難い「ホルモー…

プリンセス・トヨトミ ::万城目学

映画が上映される前にとにかく読もうと決めていましたが、何とか間に合いました。 会計監査院の松平、鳥居、旭の三人が大阪出張し、いくつかの組織を調査する。その中の一つに謎の組織「財団法人OJO」があり、過去の情報がやけに少なく何をしているのかもわ…

たまご猫 ::皆川博子

短編集だが、ほとんどの作品で共通しているのが生きている人と死んでいる人の区別がつかないこと。ホラーとも言い切れないところが皆川作品らしくもあるのか。解説の東雅夫氏は幽霊小説としています(笑)「蝶」のように人間の深淵を描いていることは共通し…

少女外道 /皆川博子

これは題名的にちょっと抵抗がありました(苦笑)ま、変な作品ではないですから気にしなくていいんですけれど。。。おっさんは困ってしまうのだ。 「蝶」ではガツンとやられてしまいましたがこの作品は主に語り部が子供の頃、日本が戦争に大きく関わっていた…

四畳半王国見聞録 ::森見登美彦

事前知識がなく、題名を見る限り「四畳半神話大系」の題名に絡めたエッセイ集とばかり思っていたが小説だったのね。ちょっと違うけれど。マキメ作品で言うところの「ホルモー六景」のような位置付けのようにも感じます。「四畳半七景」みたいな(笑) 「四畳…

花のタネは真夏に播くな ::水澤潤

(サブタイトル)日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学 上場会社百数十社の大株主である竹田和平さん。貧しい菓子職人だった竹田さんが、どうして日本一の大投資家になれたのだろう。彼の投資の神髄は意外なものだ。まっとうすぎて、みんなが見落…

ホルモー六景 ::万城目学

せっかく持っているのに「鴨川ホルモー」を再読しておけばよかったと少し後悔しながらようやく読むことができました。 完全な続編だと思い込んでいたが、6つの短編で構成されたスピンアウト作品でした。前作より高度な戦術と共に熱い戦いが展開されることを…

伯林蝋人形館 ::皆川博子

第一次世界大戦に敗れたドイツ。極端なインフレと共産主義との闘いで混迷するなか、退廃的な文化も爛熟を深めてゆく。元プロイセン貴族の士官で戦後はジゴロとして無為に生きるアルトゥール―彼を巡って紡がれた、視点の異なる6つの物語の中に、ナチス台頭直…

蝶 ::皆川博子

インパール戦線から帰還した男はひそかに持ち帰った拳銃で妻と情夫を撃つ。出所後、小豆相場で成功し、氷に鎖された海にはほど近い“司祭館”に住みついた男の生活に、映画のロケ隊が闖入してきた…。現代最高の幻視者が紡ぎぎ出す瞠目の短篇世界。(「BOOK」デ…

越境者 松田優作 ::松田美智子

松田優作が亡くなって、もう20年以上経っているのかと思うと時が経つのは早いものです。本書は松田優作の最初の妻であり、ノンフィクションライターでもある松田美智子さんが書いた評伝であり、妻しか知らない松田優作が語られている。 松田優作の活躍に関し…

三四郎はそれから門を出た ::三浦しをん

近頃、本をたくさん読むということに関して上を見ればキリがないことに気付き、趣味は読書ですと言うのは止めようかと思うくらいです。そんな思いに追い討ちをかけるようなエッセイを読んじまってやさぐれているところ。三浦さん、色んな分野の本やマンガを…

ザ・万歩計 ::万城目学

第二弾のエッセイ、「ザ・万遊記」を先に読んでしまいましたが、はっきり言うとこの最初のエッセイのほうが断然面白い。それを考えると読む順番はこれでよかったのかもしれません。 共感できる話がいくつかありましたが、その中でもたけし映画の「Kids Retur…

ペンギン・ハイウェイ ::森見登美彦

小学4年生のアオヤマ少年とウチダ君とハマモトさんが体験するワンダーランドは今までのモリミーワールドの子供版であり、そして新しいモリミーワールドでもありました。あちらこちらに見られるモリミーらしい何気ないそして巧い表現力は、ますます磨きがかか…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 --万城目学

かのこちゃんは小学一年生の元気な女の子。マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。 (「BOOK」データベースより引用) 書店でパラパラとめくった時の第一印象は、「か~るく読めそ…

恋文の技術 --森見登美彦

京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ―。(「BOOK」データベースより引用) 昨年の…

美女と竹林 --森見登美彦

美女に会ったら伝えてくれ。俺は嫁を大事にする男だと。妄想と執筆に明け暮れた、多忙にして過酷な日々。森見登美彦氏を支えてくれたのは、竹林であった。美女ではないのが、どうにも遺憾である。虚実いりまぜて、タケノコと一緒に煮込んだ、人気文士の随筆…

風が強く吹いている --三浦しをん

ここまでやるかってくらいのストレートな青春群像ストーリーでした。正月を酒浸りで過ごすため、箱根駅伝の中継は大抵見ていません。見てもボーッとテレビ画面を見ているだけで内容は把握していないことがほとんどです。 簡単に言ってしまえば寛政大学の学生…

有頂天家族 --森見登美彦

宵山万華鏡の前に読みたかったのですが、ようやく古書店で見つけることができました。 そうか、京都は人間と狸と天狗が三つ巴で生きている場所だったのか。今までの森見作品のいろんな謎は、この作品で解決した気がする。他の作品で不思議な能力?を発揮して…

僕は運動おんち --枡野浩一

「BOOK」データベースより引用運動も勉強もできず、落ち込みがちな高校生の勝。運動音痴から「うんちゃん」とあだ名され、同じ高校に美しい妹が入学してからは変に目立って、ますます死にたい毎日。そんな中、詩を書く柔道部の男子と親しくなり、彼の幼なじ…

百億の昼と千億の夜 --光瀬龍

HAYAKAWA ONLINEより引用破滅の兆しはすでに現われていた――アトランティス崩壊を目撃したプラトン、最後の審判の日を予見したキリスト、天界の絶対者に接して破局の近いことを知った釈迦、だがこれら賢聖達ですら宇宙を覆って迫る運命の全貌は知る由もなかっ…

【新釈】走れメロス 他四篇 --森見登美彦

もっと早く読む予定だったのですが原典となる作品をいくつか読んでいなかったため、そちらを先に読んでました。文庫ではないのですが・・・・先に進みたくて(笑) 「山月記」 (中島敦)文章を書くためにストイックな生活を送る斉藤秀太郎は森見ワールドの…

きつねのはなし --森見登美彦

新潮社Webサイトより引用「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やが…

風に舞いあがるビニールシート --森絵都

「BOOK」データベースより引用才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために…

吉原手引草 --松井今朝子

「BOOK」データベースより引用廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇ったそのとき、葛城の姿が忽然と消えた。一体何が起こったのか?失踪事件の謎を追いながら、吉原そのものを鮮…

あやつられ文楽鑑賞 --三浦しをん

「BOOK」データベースより引用「この本は、文楽観劇のド素人であった私が、いかにしてこのとんでもない芸能にはまっていったかの記録である」。日本がほこる伝統芸能に、笑い、ツッコミ、ときに涙する。若き直木賞作家が、文楽の魅力に迫る。 三浦しをんの「…