吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

僕は運動おんち --枡野浩一

「BOOK」データベースより引用
運動も勉強もできず、落ち込みがちな高校生の勝。運動音痴から「うんちゃん」とあだ名され、
同じ高校に美しい妹が入学してからは変に目立って、ますます死にたい毎日。そんな中、
詩を書く柔道部の男子と親しくなり、彼の幼なじみである、髪の長い女子柔道部エースに恋してしまう。
なぜか運動部にも入部するハメになり、学校生活は予想外の方向へ―。笑えて元気が出る青春小説。



最後の最後まで五十嵐貴之さんの作品のようなイメージをもって読んでしまいました。
「1985年の軌跡」同様、1985年の高校生を描いているからかもしれません。
正直な事を言うとあまり感情移入ができず、可もなく不可もなくといったところでした。
少し情けない運動音痴の「うんちゃん」の泣き言をずっと聞かされている感じがイライラさせるのです。
後半になってようやく動き出して、爽やかな青春モノに仕上がっていますが
あまり大きな事件も起きることなく、盛り上がりにいまひとつ欠けてる気がします。
まあ、実際はそんなものですけどね。



うんちゃんは自分に自信がないため、何かあるたびに死にたいと考えています。
しかし全く暗さが無く、むしろ能天気な印象です。
バレーボールのエピソードなどは作者の経験のようで、俄かには信じられませんが
実際にあったとしたら見たかったエピソードです。

 

うんちゃんの周りにいる連中も何気に良い人が多く、柔道部で詩が大好きな宇佐田こと「うさちゃん」は
不思議キャラですが、憎めない変わり者です。実際は鬱陶しいかもしれません。
うんちゃんが憧れる柔道部の波多野さんがもう少し前面にでてきてドタバタあるのかと思ったけど案外
奥ゆかしくてせっかくのキャラが勿体無い。
音楽の先生とか、体育の先生とか、まるで軽くて生徒とあまりノリが変わらない気がしたけど
特に体育の先生とか、軽すぎでしょ。
教え子に自分の恋愛を話すことはあるかもしれませんが、恋愛相手がかつての教え子だったら
言わないんじゃないかなあ。。。

 

振り返ると高校時代はそれなりに楽しかったんですが、この作品とは別世界だったなあ。



「ショートソング」吉祥寺マップ(紙製の文庫カバー 作品に登場するカフェなどの場所がわかります)の
おまけ&ナツイチのハチのストラップのおまけが付いてきたのが最大の収穫でした。