先般読んだ「プリンセス・トヨトミ」は期待が大きすぎたこともあり、微妙な感想になってので
今回はあまり期待しないで読みました。
ところがどっこい、今回はまたまたいい意味で裏切ってくれました。面白いじゃないですか!
個人的には甲乙つけ難い「ホルモー」と「かなこちゃん」がツートップですが、それに迫る好感度です。
いつものように題名がアレですが(笑)こういう意味不明の言葉を作り出すのがうまいですね。
ところどころ出てくる擬音の表記もうまい。的確でナルホドと思うことがしばしばあった。
高校入学を機に琵琶湖の東に位置する本家(石走城)に来た日出涼介は
本家の跡取りであり、同級生の日出淡十郎と出会う。
淡十郎の父で日本でも有数の日出グループの総裁、淡九郎、
淡十郎の姉で引きこもりで白馬にまたがるグレート清子など癖だらけの人物たち。
日出家には「ある力」に関する秘密があり、そのために本家に呼ばれた涼介は
高校の同じクラスのイケメンである棗広海(なつめひろみ)との間にある因縁を知る事になる。
当初は石走をめぐりライバル関係だった日出家と棗家の戦い、として展開をしていくこと
彼らが持つ隠れた秘密とはいかなるものか、という前半。
後半は彼ら共通の敵が現れ、両家に危機が迫るという展開になっていく。
マキメさんの作品って冗長なんだよなあ、と思うことがよくあるが、
凄く細かい事を描写したい人なんだと今回思った。
映像でご本人を見ると生真面目な人なんだと感じるが、
そういう性格が作品に反映されているのかもしれない。
書かなくてもいいようなちょっとした描写を描きこむことでリアル感が出る。
おかげで遠い昔の学生時代に感じていた匂いとか、教室の風景とか、
学校でしか聞いたことがない音とか、忘れていたことを思い出す。
アノ頃の思いを読者と分かち合いたいのではないか?
そう思うと簡単に冗長などと言ってはいけないのかもしれませんね。
後半の攻防はスピード感を増して面白かったし、ところどころ組み込まれるユーモラスは会話も笑えた。
実は途中で黒幕の正体はこの人かな?と適当に思っていたらその通りだったのですが、
それでも全く影響なくこの騒ぎのきっかけや結末などには切なくホロリとしてしまった。
すっかり定番となったホラ話は安定感を増し、ラストも相変わらず非常に素晴らしい。
素直に感動でき、読後感がいい。
ちょっと古臭い青春ドラマの終わりみたいでしたが、でもホント良かった~(笑)