吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2016年11月の読書リスト

もう師走。相変わらずあっという間です。



 2016/11/2読了
 /賤ヶ岳の鬼
 吉川永青
 佐久間盛政をメインに据えた作品は初めて読んだ。
 柴田勝家の甥であり勝家同様、武士としての誇りを重んじ、本能寺以後の覇権を巡り
 真逆の性質を持つ秀吉に対峙する姿が描かれる。
 終盤は盛政と勝家、そして秀吉の駆け引きに引き込まれ一気に読んだ。
 秀吉に敗れたものの佐久間盛政の武士としての最期はお見事。
 あと一歩まで秀吉を追い詰めた盛政の武運がうまく傾いたならば、
 後の天下はどのように動いたのだろう。



 2016/11/9読了
 /堤清二と昭和の大物
 松崎隆司
 かなり広範囲にわたる交友には驚かされる。
 それだけで堤清二の経営者として、作家として、文化人としてのキャラクターが
 浮かび上がってくるようだが、簡潔すぎて物足りなかった。


 2016/11/14読了
 ::リバース
 五十嵐貴久
 最近書店で「リカ」をよく見かけるので気になっていたのだが第三弾が
 でていたのか。
 「リターン」の続編ではなく「リカ」が誕生した経緯が家政婦の手紙として
 描かれている。
 鈍感な家政婦を語り部にする意図はわかるが、伏線やオチが予測したとおりで
 わかりやすかった。
 「リカ」の再読をしたいところだが、怖いんだよな~(苦笑)


 2016/11/20読了
 /喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日
 トム・バージェス
 資源が豊富であることが原因で貧困や不正で苦しむアフリカ諸国の絶望的な現実が
 これでもかと提示されていてうんざりしてしまう。
 資源の少ない日本に生まれて良かったと思える。
 国家が国民の税金に頼らないことは、国民のために国家が働かなくてもいいという
 理屈になるとは正直、目から鱗だった。
 このシステムが中国に取り込まれつつあるということは、当面この流れが
 良くなることが無いということだろう。


 2016/11/28読了
 /江戸を造った男
 伊東潤
 かろうじて名前は聞いたことがあるな、程度の知識しかない河村瑞賢の生涯。
 類まれな行動力と私欲を持たず誠心誠意仕事に取り組む姿が素晴らしい。
 真摯に取り組むことで人脈を引き寄せる様やどんな状況の中でも工夫を怠らない
 姿勢などまるでビジネス書のようだが、おおいに参考になる。
 多少冗長な気がしたが、読後感は良く、ラストシーンに涙が出そうになった。


 2016/11/28読了
 ::きまぐれ星からの伝言
 星新一
 インタビューや講演など今まで読んだことが無いものがいっぱい詰め込まれていて、
 子供の頃からのファンとしては嬉しい限り。
 特に興味深くかつ楽しく読めたのが奇想天外SF新人賞の選考座談会ですね。
 選考対象の作品の内容はわからないのですが、星新一小松左京筒井康隆という
 大御所3人の考え方や見方がそれぞれ違っていて面白かったです。



 2016/11/30読了
 ::さあ、気ちがいになりなさい
 フレドリック・ブラウン (訳)星新一
 新装版を見かけたらつい買っちゃうよね。
 収められている作品はほとんど読んでいるのだが、何度読んでも面白い。
 古さをあまり感じないし、星新一との親和性はやはり素晴らしい。



7冊読了。