吉祥読本

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美女と竹林 --森見登美彦

美女に会ったら伝えてくれ。俺は嫁を大事にする男だと。妄想と執筆に明け暮れた、多忙にして過酷な日々。
森見登美彦氏を支えてくれたのは、竹林であった。美女ではないのが、どうにも遺憾である。
虚実いりまぜて、タケノコと一緒に煮込んだ、人気文士の随筆集。
(「BOOK」データベースより引用)



モリミーらしい虚実織り交ぜた暴走した妄想でいっぱいな作品でした。
竹林はめっきり見かけなくなりましたが、子供の頃はよくありました。
小学生の頃は通学路にある竹林に石を投げ込んで「コンッ! コンッ! コンッ!」と
反響する音を聞くのが好きでした。
一個の石で何本の竹に当たるかを競ったものです。



今まで読んだモリミー作品を期待すると呆然とするかもしれません。
気分的にはモリミー節のストーリーを読みたかったのでタイミングをミスったことは確かなのですが
正直このノリに途中からついていけなくなりました。
文章を切り取ると面白いのですが、時間が経つと残っていない感じです。
一週間程前に読んだものなので仕方がないかもしれませんが、ちょっと手を抜いてるようにも感じました。

 

他の作品や執筆活動以外の裏話めいた話もあったので、いくつかの作品を読んでいる読者は
ある程度楽しめると思いますが、これをはじめて読む場合は楽しめないのではないかと。
モリミーらしさはかなり出ているので、雰囲気を感じる事はできるかもしれませんが・・・



最も印象的なものとしては友人の明石氏のふわふわしたノリです。
森見氏の筆の滑りもそのあたりになると快調だったように感じたし。
こんなタイプの人物がいたことは彼の作品創作に、いい意味で影響を与えているように思いました。

 

それと、机上で鑑賞できる竹林、あれは是非欲しいです。
PCの脇に置きたいけど、常にぼんやりと眺めてしまいそうで仕事にならないかも(笑)