吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2013年5月の読書リスト

気が付けば「いとう」さん祭りだった。4冊目で気付いて強引に5冊目を読んでやったんだけど(笑)
久しぶりのモリミーや、いとうせいこうも良かった。
伊藤潤は初めて読んだ。なんだか好きなタイプっぽいのでこれからもチャレンジしようと思います。



2013/5/3読了
 /鳥類学者 無謀にも恐竜を語る
 川上和人
 著者が学者なので固めの内容を覚悟していたが、脱線しながら肩肘張らない文体で非常に読み易かった。
 想像力の刺激に効きました。



2013/5/5読了
 ::Running Pictures: 伊藤計劃映画時評集1
 伊藤計劃
 web上でも読めるし、「伊藤計劃記録」にも掲載されていた映画レビューではあるが、改めて読むとやはり面白い。
 柳下毅一郎の解説にもあるが、伊藤計劃の作品の根底を感じさせるレビューでもある。
 特にマトリックスファイトクラブグラディエーターアイアン・ジャイアントなどに関しては、何度読んでも良い。



2013/5/12読了
 /チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男
 遠藤誉
 中国指導層の権力争いの実態がノンフィクションとは思えないくらいの迫力で面白く読めた。(面白いと言っている場合ではないような気もするが)
 また、アメリカ、イギリスなどの名門大学に中国上層部の子供たちが大量に留学していたり、チャイナ・マネーによる世界制覇などに言及する終章は、中国の動向を見極める際のひとつの大事な視点を示唆していて興味深い。



2013/5/14読了
 ::Cinematrix: 伊藤計劃映画時評集2
 伊藤計劃
 一巻同様、既読のものが多いが鋭さ、濃密度が増しているのがわかる。
 映画のレビューではあるが、伊藤計劃を読み解くヒントも随所にある。
 果たしてどんなものなのか、渡辺文樹監督「腹腹時計」は観てみたい。



2013/5/14読了
 /想像ラジオ
 いとうせいこう
 久しぶりのいとうせいこう作品。3.11の影響で書かれたことは勿論だが、
 広島、長崎の原爆も含めた犠牲者にも言及されているので軽やかに描かれてはいるが、いとうせいこうの死や生き方の考え方が反映しているのでしょう。
 想像力の持つ力は偉大なのだ。



2013/5/18読了
 田中角栄 - 戦後日本の悲しき自画像
 早野透
 日本の戦後政治を語るに、この人は外せない。首相経験者逮捕は子供心にも衝撃的で、大きな新聞の見出しに驚いた記憶がある。
 首相在任期間は短いが逮捕後もキングメーカーとして君臨できたのは、勿論金の力だけではない。
 金権政治家の代表だが政治家としての能力や人情味溢れ、どこか憎めない人間性
 多くの人が認める事だろう。
 自民党幹事室で30年間務めた奥島氏の言葉が印象的。
 「私が接した幹事長の中で、田中は間違いなくナンバーワンであった。」
 「ワーストワンは?と聞かれれば、私は躊躇なくこの人物の名前を挙げる。小沢一郎である。」



2013/5/23読了
 ::聖なる怠け者の冒険
 森見登美彦
 狸、達磨、宵山、赤い浴衣の少女、ふわふわ、なむなむ、なーる・・・・
 モリミー作品にはお馴染みの言葉たちを久しぶりに楽しみました。
 何よりも偽電気ブランに正式名が付いたってか?
 作品としてはもう少し男汁たっぷり(煮詰めない程度)を期待していたが、すっきりとした味わい。
 チェスタトンの「木曜の男」も意識している様子。
 愛すべき阿呆、いや週末を拡張すべき怠け者たちとテングブランで乾杯したいものだ。



2013/5/26読了
 /国を蹴った男
 伊東潤
 歴史を作ってきたのは秀吉や信長だけではなく、その陰で生きていた人間たち全てが時代を作るのだと思わせてくれる短編集。ほぼ無名な人物にスポットを当てることで有名武将の一般的な印象を崩し、違う側面から描写しているのが面白い。
 「牢人大将」や「天に唾して」が好きな作品。共通するキーワードは「プライド」。



2013/5/29読了
 /巨鯨の海
 伊東潤
 江戸から明治にかけて紀州太地を舞台に、捕鯨と関わり合う人間たちの過酷で壮絶な人生を描く短編集。
 捕鯨のシーンはなかなかの迫力。
 特有の専門用語や言葉がふんだんに使われるので戸惑うところもあるが、
 その分独特のテンポがあり骨太感たっぷり。
 それぞれの短編に直接的な繋がりはないが、技術の進歩や人間の考え方の移ろいが
 捕鯨に影響していく様が浮かび上がる流れはお見事。




9冊読了。今月こそ10冊いけると思ったがギリギリ届かなかった。
今日一冊読み終わったんだが、6月だし。。。。残念。