2011-01-01から1年間の記事一覧
酩酊混乱紀行「恐怖の報酬」日記で見事なビール好きを披露していましたが、飛行機にだいぶ慣れてきたのかアチコチに足を延ばしているじゃありませんか。 ロンドン、チェコ、韓国、中国、スペイン、国内(郡上八幡、日光、阿蘇など)を巡る紀行文です。それに…
先日読んだ「空白の五マイル」と同時に大宅壮一ノンフィクション賞を獲得した作品だったので読みました。 ブラジルの先住民、ヤノマミ族の集落ワトリキ(風の地)で150日間に及ぶ同居生活をした著者はNHKディレクター。この取材に関しては番組としても放映さ…
この作品はなんと主人公が陳宮である。そして従来の長編三国志たちに比べると非常に読みやすい。 小役人の父を持ち、小柄だが頭脳明晰のうえ勇敢で信念を曲げない陳宮は異例の出世を遂げていく。 結婚を意識していた張鈴を董卓に奪われ、取り返そうとするこ…
小川さんの読書遍歴など本に関するエッセイ集です。ご自身が影響を受けた本への愛情が感じられます。言及されている本は、ほとんど読んでいない本なのであまり共感できないのが残念でしたが。かなり短い文章がいっぱいなので、いくつか印象的だったものを取…
先般読んだ「プリンセス・トヨトミ」は期待が大きすぎたこともあり、微妙な感想になってので今回はあまり期待しないで読みました。ところがどっこい、今回はまたまたいい意味で裏切ってくれました。面白いじゃないですか!個人的には甲乙つけ難い「ホルモー…
最近、豊崎由美さんの「ユリゴコロ」の書評を読んで、以前豊崎さんが書いた「猫鳴り」の書評を思い出した。読みたいと思わせるのにどこか引っ掛かる書評だった。絶賛しているけれど、読者にそれなりの覚悟を求めているような印象は、ずっと頭のどこかに残っ…
「熊が火を発見する」「アンを押してください」「未来からきたふたり組」「英国航行中」 「ふたりジャネット」「冥界飛行士」「穴のなかの穴」「宇宙のはずれ」「時間どおりに教会へ」 以上9編 まずはなんといってもヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、…
【あ】●赤瀬川原平新解さんの謎●朝倉かすみ肝、焼ける田村はまだか●阿刀田高ナポレオン狂冷蔵庫より愛をこめてこんな話を聞いた●阿南友亮中国はなぜ軍拡を続けるのか●阿部和重アメリカの夜幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人ABC戦争インディヴィジュアル・プ…
【い - 1】●飯沢耕太郎ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ●飯嶋和一汝ふたたび故郷へ帰れず雷電本紀神無き月十番目の夜始祖鳥記黄金旅風出星前夜狗賓(ぐひん)童子の島星夜航行 上巻星夜航行 下巻●五十嵐貴久リカTVJ1985年の奇跡2005年のロケットボーイズ安…
【い - 2】●伊丹十三ヨーロッパ退屈日記●一橋文哉モンスター●伊藤彰彦映画の奈落: 北陸代理戦争事件●伊藤薫八甲田山 消された真実●伊藤計劃虐殺器官メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオットハーモニー伊藤計劃記録伊藤計劃記録:第弐位相屍者の帝国…
【う】●上原善広路地の子●上前淳一郎アキラ! 加藤明・南米バレーボールに捧げた一生●鵜飼秀徳無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教●内澤旬子センセイの書斎―イラストルポ「本」のある仕事場●内田百ノラや●内橋克人匠の時代1-12●内堀弘ボン書店の幻●宇月原晴明信…
【え】●江坂遊仕掛け花火ひねくれアイテム鍵穴ラビリンスきまぐれラボ「バンパイヤ」第二部完結編●円城塔Self-Reference ENGINE後藤さんのことこれはペンですオブ・ザ・ベースボール烏有此譚道化師の蝶バナナ剥きには最適の日々屍者の帝国(&伊藤計劃)シャ…
【お】●大倉直陸軍将校のつくったチーズ脱ニッポン人生 自分の居場所の見つけ方●大崎善生聖の青春将棋の子いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件●大島堅一原発のコスト -エネルギー転換への視点●大谷正日清戦争●小川洋子博士の愛した数式猫を抱いて象と泳ぐ原稿…
勿論、今回の東日本大震災をきっかけに読んだ作品です。明治29年、昭和8年の地震によって三陸海岸で起きた大津波と、昭和35年のチリ沖大地震で起きた大津波、都合3回の大津波で何が起きていたかを描いている。吉村氏らしい記録に徹する姿勢が、よりリアルさ…
副題::チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む 開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞のダブル受賞作品です。 著者は早稲田大学探検部OB。すなわち高野秀行さんの後輩です。 大学卒業後に朝日新聞で5年間の記者生活を経ているが、大学…
イメージとして川端康成と大宅壮一を結び付けたことは無い。むしろ全く真逆な印象しかない。 川端作品はずっと昔に読んだきりだし、大宅に関しては一冊読んだきりである。 ただし、大宅壮一ノンフィクション賞に関しては興味がある。 と書きつつ講談社ノンフ…
いまだに人気があって借りられない「銃、病原菌、鉄」に業を煮やし、本書を先に読んだが上巻を読んだのが4月。なんだかんだと結局下巻との間に9冊も挟んでしまった。 上巻ではイースター島やマヤ文明の崩壊が描かれているが、全体を通して著者が力点を置いて…
宇宙科学開発機構でエンジン開発に関わっていた佃航平は父親の跡を継ぎ、精密機械製造業の佃製作所の社長となっている。大学や研究所での研究実績をもとに今ではエンジンや周辺デバイスを手がけている会社だ。技術力は大企業をも凌ぐとの評判だが、特に研究…
映画が上映される前にとにかく読もうと決めていましたが、何とか間に合いました。 会計監査院の松平、鳥居、旭の三人が大阪出張し、いくつかの組織を調査する。その中の一つに謎の組織「財団法人OJO」があり、過去の情報がやけに少なく何をしているのかもわ…
19編と既読の奇想コレクションで最も作品数が多いかな?と調べたら「蒸気駆動の少年」が23編だったから第2位。 短い分読みやすいが、それでも理解しきれない作品がチラホラ。雰囲気的には似通った作品もあって、途中、食傷気味になったが(苦笑)こんな奇想も…
東日本大地震による復旧、復興はまだまだ先が見えていない。地震によって原子力問題が噴出し、電力会社の対応が注視される中、当然ながら政治家の真価も問われる状況になっている。 電力会社経営陣の不誠実な対応や、政局に時間を費やす政治家については改め…
すっかり小川洋子フリークになっている気がする。題名からは内容が推察できなかったが、最初にその謎が明かされる。海外で日本人のツアーバスがテロリストによって襲われ、ガイドと客の合計8人が拉致される。その事件が人々の記憶から薄れかけた頃、特殊部隊…
短編集だが、ほとんどの作品で共通しているのが生きている人と死んでいる人の区別がつかないこと。ホラーとも言い切れないところが皆川作品らしくもあるのか。解説の東雅夫氏は幽霊小説としています(笑)「蝶」のように人間の深淵を描いていることは共通し…
伊藤計劃の作品には時代こそ違うが旧ユーゴスラビアで起きた事を下敷きにした舞台装置があり、それを傭兵の目線で描いている。伊藤作品(虐殺器官や短編)には、生きるために兵士となる子供たちの目線で描く作品はあったがしかし頭を撃ち抜かれ、轍に倒れて…
第弐位相とは伊藤計劃が亡くなる直前まで書いていたブログの題名でもある。よってブログからの抜粋がかなりある。ブログはまだ存在するので、本書のかなりの部分はネットで読むことができる。が、しかし伊藤計劃の本は揃えておこうと思っている身としては買…
ウ~ン、題名とはうらはらの内容。奇想コレクション読破まであとわずかとなってきてだいぶ慣れてたと思ったんですがいやはや侮れません。著者が子供の頃からやばいクスリにドップリ浸かった体験が十二分に発揮された作品にグッタリ。翻訳者も相当苦労したよ…
特に前知識も無かったのだが、題名からして勝手にエッセイ集だとばかり思っていました。ところが読み始めるとなんだか様子が変だ。小川さんの日常生活を綴っているんだろうなあ、と素直に読み進めていると、徐々に非日常の不穏な空気が漂い始める。取材旅行…
パレオマニアとは著者自らによる造語で「古代妄想狂」のことであるとのこと。 大英博物館に所蔵されているものからそのルーツとなる地へ旅に出る「男」。文中、「男は~」と表現している部分は著者本人なんだから「私は~」でいいんじゃないかと思うが何かに…
とにかく長い作品でした。主人公の男は写楽の研究者。冒頭、自分の不注意から六本木のビルの回転扉で子供を喪ってしまう。それをきっかけに陥る負のスパイラルにかなりのページ数が割かれるが、事故を検証するためのスタッフの一人として出会う非のうちどこ…
イギリスを舞台にした四人家族に起こった不思議なできごとを描きます。養子として引き取られたマシュー(12歳)が主人公のジュブナイルっぽいSFで、全体的に緩~く物語は進行します。ある日、マシューの様子がおかしいことに気付いた両親は悩みます。幻覚で…