吉祥読本

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2061年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす―そして、みずからの手で彗星を調査する。だが、彗星に着地し探査を始めたフロイドたちを、思いもよらぬ事件が待ち受けていた。(「BOOK」データベースより引用)



なんで2061年だったか、、、蓋をあけてみたらハレー彗星がやってきた記念に書いたもの。
前回ハレー彗星が地球に近づいたのが1986年、次に彗星がやってくるのが2061年。
お祭りに便乗して、自らのシリーズにも便乗したってことですね。
厳密にいえば「2001年~」、「2010年~」もきっちりと繋がっているわけではないし、別物といえば別物だったが、続編と呼べるレベルでもあった。
しかしこれはスピンオフ企画みたいな感じでしょうか。

 

2010年の主人公が引き続き出てくるが、今や103歳。しかし、怪我の功名?で宇宙空間で療養していたために実際は60歳代の体力が維持できてるって設定は強引のような羨ましいような(笑)
ハレー彗星の探索に関しては新たな世界を見せてくれ、これは期待できるぞ、と思っていると、結局「2010年~」で人間の立ち入りをしないよう「警告」されたエウロパへ向かう展開になる。
その目的のヒントは「2010年~」にもあったけど、結局地球上で展開されている人間の欲求を満たすための争いが宇宙にまで広がったって話しになってくる。宇宙にまで利権や犯罪の生臭さを持ち込まなくても。。。
まあ、リアルっぽくて宇宙が身近になればあり得る話しなんでしょうけど。
人間って欲望のためにはタフなのねと思いながら、そんな話しはこのシリーズに求めていなかったし、ワクワクできるシーンも少なかったな。
最終的にはシリーズ完結編の「3001年終局の旅」にバトンタッチできるように持っていったけど、前作まで読んで疑問に思ったことは何も解決されていないし、なんだかモヤモヤした読後感です。
このシリーズと全く違う作品にすればよかったのに。。。。
せめて、エウロパにいた生物の話しをたっぷりと書いてくれれば違う面白さとして割り切れた気もするのだが。
ただしクラークの科学的根拠に忠実な描写はさすがです。そこが救いでもある作品だと思います。

 

と、いうことで期待とは違う結果に不満はあるけど、気を取り直してシリーズ最後の作品に期待をかけるのだ!