吉祥読本

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幻獣ムベンベを追え --高野秀行

ワセダ三畳青春記がツボだったので早めの第二弾です。

 

子供の頃は近所にまだまだ自然が多く、森や川や沼みたいな場所があったものだ。
その中を分け入って何度探検しかことか。
かつては川口浩探検隊シリーズがテレビで放映され、ドキドキしながらテレビの前に
釘付けになったものだ。
まあ、ドキドキしたのは最初の頃だけで、後半はツッコミいれながら見ることを楽しみとしてたものだが(笑)

 

憧れたなあ。未開の地に踏み込んでいつか探検してやるんだ、
ネッシーを見つけてやるんだと何度思ったことか。
そんな事を懐かしく思い出しながら読みました。



「BOOK」データベースより引用

 

太古の昔からコンゴ奥地の湖に棲息するという謎の怪獣・モケーレ・ムベンベ発見を賭け、
赤道直下の密林に挑んだ早稲田大学探検部11人の勇猛果敢、荒唐無稽、前途多難な
ジャングル・サバイバル78日。
子供の心を忘れないあなたに贈る、痛快ノンフィクション。



「子供心を忘れないあなた」かは定かではないが、いつの間にか未開の地を探検をしたいという
気持ちはなくなっていたなあ。
いま、ジャングルの中を探検したいかと問われれば、「うーん、行きたいけど、きついなあ」と、
かなり消極的になる。

 

だから大学生になってから本当にそんな探検に挑戦できる高野氏は尊敬に値する。
誰もが普通しないだろ、と思うなかでやってしまう行動力は羨ましくもある。

 

政情不安のうえ、ただでさえ情報がないコンゴのテレ湖。
そのテレ湖で目撃されたというムベンベを探すわけだから
最初から苦労するのは目に見えている。苦労しなければ探検じゃないのだから仕方がないか。
情報がないとはいえ、湖の驚愕の水深にはビックリしたけどね(笑)



言葉の問題、機材の問題、現地スタッフの問題が絡まり合いながらの探検は
本来とても悲惨な状況なのだが、どこかみんなアッケラカンとしていて
言っては悪いが緊張感が感じられない。
といっても死線をさまよう仲間まで出てくるのだからはハードな行程であることは間違いない。

 

24時間体制で湖を監視する彼らの長い焦燥感は、いかばかりかとは思うものの彼らはめげない。
バイタリティと能天気さとで切り抜ける様子を読んでいると感心する。
若いって素晴らしいけど、若くてもできねえ!
これはもう天性のものですね。才能なんでしょうね。
彼らのその後が巻末やあとがきに書いてありましたが、もう自分の仲間のように感慨深い。

 

冒険を擬似体験できただけで、みんなに感謝です。
それにしてもだ、早稲田大学探検部というのは恐ろしいクラブだ。
私は近場の自然をせいぜい探検して、この夏を楽しみますわ。



そういや解説が宮部みゆきさんだった。そろそろ宮部さんも読めって啓示か?(笑)