吉祥読本

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[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ --シオドア・スタージョン

超反射“シナプス・ベータ・サブ16”の調査に地球にやってきた探検隊は、ある下宿に人類の
サンプルを集めて観察を始めるが、彼らはみなそれぞれに問題を抱えていて…。
スタージョン的テーマが展開される表題作をはじめ、他人が必要としているものが読めてしまう男の
痛切な物語「必要」、家出を決意した少年が故郷の町を出て行く道で奇妙な男たちに出逢う「帰り道」他、全6篇を収録。(「BOOK」データベースより引用)


「帰り道」 「午砲」 「必要」 「解除反応」 「火星人と脳なし」 
「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」の6篇です。
表題作のみが中編くらいのボリュームです。
今回の作品たちは今まで読んだ中でもクセが強く、読みにくい印象が強かったです。

「帰り道」
 一人の男が街を出ようとする道すがら繰り広げられる妄想の話でなんとなく郷愁を感じる作品。

「午砲」
 弱い自分に苛立つジョーが酒場で侮辱されたことをキッカケに強くなろうとする過程が描かれている。
 弱い側の心を描くことが多いスタージョンらしい作品かもしれないが、幻想的なテイストは感じられない。

「必要」
 本作が一番良かった作品。人が必要としていることがわかってしまう能力を持つ男を描いているが
 これぞスタージョンの真骨頂である。ひねくれているようで実は優しい、少しいびつな感情と
 そこにある真実への理解という展開は心地良い読後感だった。

「解除反応」
 ブルドーザーを操作しながら記憶を喪失していることに気付いた男の話。
 これを読んでいる最中に首と背中を痛めたため、自分もこの作品の記憶が薄らいでしまった(苦笑)

・「火星人と脳なし」
 かなり軽いタッチのちょっと笑える?SFです。
 首が痛くて病院の待合室で読んでたためか記憶も散漫。一番の脳なしは自分だね(苦笑)

・「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」
 登場人物が多くてわかりにくい作品でした。ガチャガチャとしていて投げ出そうかと思いましたが
 ふと「海を失った男」に出てきた「三の法則」に似ているなと思い当たり、やっと理解できました。
 (解説でも「三の法則」に言及していました)
 理解できるとスタージョンらしい作品だなあと思いますが、疲れました。


感想が手抜きなので記事を読んで頂いた方には申し訳ないのですが、お許しを。
手持ちの奇想コレクションの中では短めの作品集だからと思って読んだのですが
アクシデントがあったとはいえ、手こずりました。
スタージョンらしい作品ばかりですが、これを初スタージョンにするのは避けたほうがよい事だけは
断言できます。特に体調が悪い時にはやめましょう。