吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

蛇行する川のほとり --恩田陸

以前図書館で読んだため、3冊に分かれていたせいもあり他の人に借りられてばかりで
一気読みできず、記憶が曖昧のため感想を書けずにいました。
一冊にまとまっている文庫本を入手してあったのですが、ようやく一気読みできました。
読む季節としてはいい時期かなあ、なんて思ったもので(笑)



「BOOK」データベースより引用

 

あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。
夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。
それは、楽しく充実した高校生活の最高の思い出になるはずだった。
ひとりの美しい少年の言葉が、この世界のすべてを灰色に変えるまでは…。
そして、運命の歯車は回り始めた。あの遠い夏の日と同じように―。運命の岸辺に佇む少女たちの物語。



4人の女子高校生と2人の男子高校生が主人公で、3章+終章で構成されています。
章ごとに、ある人物の視点でストーリーが進みます。
その人物の考えていることや他の人物のセリフを鵜呑みにしていると
次の章では別の人物の視点で見るため、一旦イメージした人物像がくずされ、再構築する事になります。
そうこうしているうちに過去に起きた事件と、主人公たちの係わり合いが徐々に明かされていき、
事件の真相がわかってくる仕掛けになっています。



主人公は6人。色んな意味で綺麗すぎて現実感がないのですが
ご自身が巻末で書いてあるように少なくとも4人の女子高生は恩田さんの「憧れ」らしいので納得。

 

合宿先でビールとかワインなんぞを飲んでますが、綺麗で大人な飲み方ですね。
ガーーーーっと飲み干しもう一本!みたいな勢いがないのが信じられない(笑)
若さがない!宴会にならないか普通!
それにダルマをかかえて浴びてた世代にゃワインなんて選択肢はハナからありゃしませんって。
おっと、そもそも未成年者は酒なんか飲んじゃあいけませんよ!!!



戻します。

 

前にも書きましたが、伏線だと思っていた事柄のいくつかが回収されていない気がしました。
気付かなかったのかもしれませんが、「何だろう?」と気にしていた事が最後まで無視されている。
(と、思う)
その場を盛り上げるための演出だけだった、心理的なものだった、ということでしょうか。
その点は気になります。

 

「気になる点」は恩田さんの作品の特徴なのか、他の作品をもう少し読んで見極めたいと思います。
(まだ積んである作品があるもので。。。汗)



それにしても、ちょっとゾクリとさせるキャラクター表現はなかなかなものです。
それもこれも愛している憧れの少女たちを描いているからでしょうね。

 

あまり読んでいないので何なんですが、六番目の小夜子に近いと感じました。
個人的には僅差ですが「六番目~」のほうが好きかなあ。

 

恩田さんのこの手の作品は女性読者をターゲットにしているように感じます。
なので、少し違うタイプの作品を選んでみようかなと検討中です。
まず積んでいるのを読んでからですが(笑)