著者:大治朋子
出版社:毎日新聞出版
どうしてイスラエルは攻撃をやめないのだろう?
ガザ地区で起きているニュースを見るたび疑問が湧いていた。
国家の判断であれ、国民は自国による執拗なガザ攻撃に何を思っているのだろうか。
題名からそれらの疑問に少しでも答えてくれるのではないか?
と思い読んでみた。
著者自身、同様の疑問から取材を始めているようなので良い選択だったと思う。
記者として赴任し、生活した著者だからこそ語れるイスラエル人の考え方には
宗教や歴史が大きく関わるため理解することはなかなか難しいが、
同じ人間なのだから当然共有できる気持ちもある。
なぜ、加害者であるユダヤ人はかつて迫害を受けていたにもかかわらず
同じことをガザに向けて行っているのだろうか。
双方の考え方を丹念に聞き、そこで浮かび上がるのは
かつて迫害を受けていた被害者意識を根源とした立ち位置からの思考が
頭の中から離れず、攻撃することが正当化されているのではないかということ。
被害者意識から加害側を糾弾することは必要な面もあるが、
かつて被害を受けたからといって加害側に何をしてもいいという考え方は
物事を解決へとは導かないだろう。
そして複雑なのはイスラエル兵たちも自分たちの行為が元で
PTSDに悩まされる人が沢山いるにもかかわらず
状況をなかなか変えられないループ。
本書を読んでいる最中に停戦の気配があったが
きっとまた理由を付けては紛争が再開するのだろうなと思っていたら
案の定、簡単に収まることは無さそう。
被害者(加害者)同士がそれぞれ正当化しながら
傷付けあう不毛に言葉が無い。
その背景も概ね知ることができた。理解はできないが。
当然イスラエル・パレスチナの問題は簡単に理解できるものではないが、
本書で多少なりともイスラエルの思考に触れることは有意義だった。
ただし、やはり解決への道のりは遠いのかもしれない。