吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

推定少女 --桜庭一樹

「BOOK」データベースより引用
とある事情から逃亡者となった“ぼく”こと巣篭カナは、逃げ込んだダストシュートの中で
全裸の美少女・白雪を発見する。
黒く大きな銃を持ち、記憶喪失を自称する白雪と、疑いつつも彼女に惹かれるカナ。
2人は街を抜け出し、東京・秋葉原を目指すが…直木賞作家のブレイク前夜に書かれた、
清冽でファニーな成長小説。幻の未公開エンディング2本を同時収録。



作品としては「少女には向かない職業」に続いて2作目です。
またまた少女が主役の作品です。

 

15歳の「巣篭カナ」(スゴモリカナ)は名前から連想されるように、まだ大人になれずに
しかし大人へと成長していく過程として大人世代への反抗心、親に対する不信感、
自立できない自分への苛立ち、葛藤など少女の心理がうまく書かれている。(と思う。)
そして少女の身に起きる事件と、不思議な少女との出会いをきっかけに
少女が徐々に成長していく物語りです。

 

中学3年生位の閉塞感、孤独感、不信感は男女の別なく、多くの人が経験しているのではないかと
思いますが、女性には、男にきっとわからない事が一杯ある(あった)んでしょうね。
そのあたり、明確に理解しきれないのは仕方ありません。
自分が15歳位だった時ですら同世代の異性というのは何を考えているのか
理解できていなかったように思うのですから(笑)

 

その分、二人の少女たちと行動を共にする少年の戸惑いと彼女たちに対する共感などは
理解できる気はしました。(一応、少年でしたから。。笑)



未公開エンディングが2本掲載されてて、読む前は売るためのひとつの手法か?と思いましたが、
読んでみると3つのエンディングが掲載されていることでしっくりくることから
この作品の特徴をむしろ際立たせるためには正解だったのではないでしょうか。

 

売るため?と勘ぐる自分はやはり既にただの大人になってしまったんでしょうねえ(苦笑)



「書店はタイムマシーン」を読んだばかりだから尚更感じたことなのかも知れませんが、
読んでいる最中は桜庭一樹自身が、二人の少女の中に散りばめられているいるような感覚に捉われた
作品でした。