信長の心理を描いた木下昌輝の「信長、天を堕とす」とセットの作品。
信長に対する5人の心模様を描く。
井伊直盛から見た桶狭間、お市の気持ちの変遷、長島一向一揆を指揮する下間頼旦、
信玄亡き後の武田家を担う武田勝頼、そして明智光秀。
信長の存在に畏怖しながらも対峙する各人の複雑な思いが交錯して印象的だったのは
お市と僧侶である頼旦の話。
身内であるが故の愛憎、信じるもののために矛盾にも思える行動を続ける宗教家の姿は
それぞれ読ませてくれた。
「信長、天を堕とす」も読むとより楽しめるが、企画もののためにそれぞれ足枷があるようなぎこちなさを感じたのは仕方ないことなのかな。
自由に書きたいように書いてくれたらもう少し迫力のある作品たちになったような気がする。
吉川永青の作品も含め、どっぷり信長、明智関連のストーリーに浸かっていたので
少し戦国時代を離れます。
2020/1/20読了