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サキ短編集 ::サキ

ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。
豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。
『開いた窓』や『おせっかい』など、日本のSFやホラー作品にも多大な影響をあたえた代表的短編21編。(「BOOK」データベースより引用)



偶然にもチェスタトンと同じイギリス人作家で同じ頃の生まれでした。
この作品集、確かに少しのユーモアと多めのブラックさに適量の風刺が効いている。
いずれも古臭さは否めないし、オチがわかる作品もあるがバラエティに富んだ作品たちでした。
既読?と思われる作品もあるのは、きっとその後、色々な作家や作品へ多大な影響を
与えたからだと思います。
21編あり、一部わかりにくい作品もありましたが、概ね平均点を越える作品ばかりでした。
「いい素材」が並んでいる感じでしょうか。

 

その中で印象的だったのは、「平和的玩具」「開いた窓」「十三人目」「おせっかい」
「セルノグラツの狼」「七つのクリイム壺」です。
ショートショートなんで概説は省略しますが(手抜き)ホラーテイストだったり、
人間の心の奥にある意地の悪さををチラリと掬ってみせられたり、
心が凍らせられるほどの衝撃こそありませんでしたが、昔読んだら相当楽しめたんだろうなあ。



本名はヘクター・ヒューマンロー。表紙は作者のアップの顔写真ですが、上品さの漂う男性で
作品全体に漂うスタイリッシュさと違和感なく繋がっている風貌ですね。