吉祥読本

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FBIフーバー長官の呪い --マルク・デュガン

ずいぶん前、ケネディ関連のノンフィクション数冊分をまとめて記事にしましたが、
その関連本としてようやく積んであった本書を読むことができました。
FBIのフーバー長官といえば、FBIの初代長官であり50年近く長官の椅子を守り続けたとんでもない男ですがケネディとの確執はもちろんのこと、その他多くのアメリカ大統領たちとの確執がこれでもかと書かれている。

 

共産主義撲滅を名目に国民的人気を得ながら、組織犯罪(マフィア)の存在を否定し、
取り締まらない理由はマフィアに弱みを握られていたから。
その弱みとは、この作品の基となるファイルを書き残したフーバーの右腕でありフーバーとともにFBIのNo.2でもあったクレイグがおおいに関係している。
この二人がただならぬ関係でその証拠写真がマフィアに握られている。。。。
フーバーは政治家たちの弱みを盗聴器を使って細部まで握り、それをチラつかせながら自分の地位を守り続ける。
政治家たち、特にケネディ家とマフィアの古くから存在する交友関係を知るフーバーたちはそれを武器に大統領を操ろうとする。
政治家、FBI、マフィアが互いの尻尾を齧りながら共存するという構図ができあがるわけだ。

 

この作品では日本でも人気のあるJFKをはじめ、ケネディ家をメタクソにぶった切っている。
この作品を信じるのであればケネディ家のモラルの無さ、特にホワイトハウスを売春宿と言われるほどに貶めてしまう女性関係のだらしなさには閉口する。
JFKが暗殺されるのは当然だったと思ってしまう。
それにしても世界を牛耳るアメリカ上層部がこんなことでいいのだろうか、と何度も思う。

 

理想像を国民に提供し、そのためには手段を選ばない偽善者たちには恐れ入りますな。
現在のアメリカはどうか。
きっと姿を変えて巧妙に世界を牛耳っているのでしょう。
これじゃあ綺麗事を並び立てるだけで何もしない日本の政治家が敵うわけがないな。

 

実は、このファイルは冒頭で本当にクレイグが書き残したものか明確ではないと書かれている。
嘘か真実か、それはわからないが、自分が読んできた他の本と共通することも多く、説得力は有ると思った。
翻訳者も同様の整合性を訴えているが、それを実証するものは多分出てこないのだろうな。
他の関連本だってどこまでが真実かなんてわからないし、真実が出ると困る人達もたくさんいるでしょうしね。