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それからの海舟 ::半藤一利

幕末の動乱期の中、幕臣の中心として江戸城無血開城という大仕事を成し遂げた後の人生を勝海舟はどう生きたのか。新旧相撃つ中で旧幕臣たちの生計をたてる道を探り、福沢諭吉らの批判を受けながらも明治政府の内部に入り、旧幕府勢力の代弁者としての発言力を確保して徳川慶喜明治天皇の会見を実現。
また一方では逆賊とされた盟友西郷隆盛の名誉回復に尽力した海舟の後半生に光を当てた名評伝。(「BOOK」データベースより引用)



勝海舟といえば幕末には絶対に欠かせない人物の一人であることは誰もが否定できないでしょう。
大河ドラマでもよく出てくる人物ですね。
しかし、この人物のファンを公言する人に会った事がありません。(自分の周りで、です)
それは幕府側だったからでしょうか。いや、新撰組が好きな人は結構いるようですし、
幕府側にだって魅力的な人物はたくさんいるはずなのですが。。。。

 

積んでから約2年。
龍馬ブームのうちに読まないと、もうしばらく積んだままになりそうなのでようやく読んだ次第です。

 

とても魅力的で胆力のある人です。無血開城の立役者というだけではなく、新政府においてもかなり重要な戦力であった事は間違いありません。
新政府側の人間からすれば敵側にいた人物ですから邪魔な存在だったでしょうが情報収集能力、先見性に優れ、交渉能力はずば抜けていたようで、どうしても欲しい人材だったようです。
またあまり仲が良くない徳川慶喜や、新政府と戦う道を選んだ西郷隆盛の名誉を回復するために尽力する情の篤さも持ち合わせています。
新政府は急激な政権交代に対応するため、旧幕府の優秀な人材を次々と登用しますが、
それも海舟の作った道筋のようです。優秀な人材の就職斡旋みたいなものですね。
気概のある人は、その場では疎んじられることが多いかもしれませんが、信念を持って動くことのできた稀有な人物だったことは良くわかりました。


半藤一利さんは勝海舟の熱狂的なファンのようで、この作品は個人的な感想が随所に出てきます。
すごいファンだということはよく伝わってきました。
ただ「勝っつぁん」と親しみをこめて語るのがどうにも落ち着かない。
随所で個人的な見解を余計なことだと断りながらも、海舟の代弁者のように語るのはもう少し控えて欲しかったが、そのあたり確信犯のようなので海舟ファンには共感を得るのかもしれません。
どうせだったら題名も「それからの勝っつぁん」にしてくれれば良かったのに。

 

ああ、そしたらこの本、読まなかったか(笑)