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キリマンジャロ・マシーン ::レイ・ブラッドベリ

ブラッドベリは詩人だなあとつくづく思う。SF界の叙情詩人と言われるのも頷ける。
幻想的な小説とか奇想モノを読む者としてはブラッドベリにあまりSFっぽさを感じませんが
解説にもあるように「郷愁」、「離別」というキーワードは作品を表現するうえでピッタリだと思う。

 

これらの短編集の中で最も印象的な作品でもある「キリマンジャロ・マシーン」は
タイムマシンでパパ(ヘミングウェイ)に会いに行く話だが、
その動機はパパの死に納得がいかない主人公が別の道(死)を導くこと。

 

どうやら別次元で生まれてしまい、ピラミッドのような形にしか見えない子供と会うために
今の生活を捨て、別次元に行く決心をする両親を描く「明日の子供」。

 

地球上で起きた核戦争の結果、火星にたった一人残されることになった孤独な男に
かかってくる電話がもたらす顛末を描く「夜のコレクト・コール」。

 

この3篇が印象的な作品ですが、いずれも題材が違いながらもどこか寂寥感が漂う。
これ以外では「お邸炎上」が茶目っ気のある作品で面白かった。

 

他の作品に関しては少し時間が経つと忘れてしまいそうですが
(ええっと、実は3月初旬に読んだのですでに忘れかけております)
だからと言って読んでいる最中につまらなかったわけではありません。
好みの問題ではないかと。

 

パパの「キリマンジャロの雪」も早いとこ再読したいものです。



作品リスト
 「キリマンジャロ・マシーン」「お邸炎上」「明日の子供」「女」「霊感雌鳥モーテル」
 「ゲティスバークの風下に」「われら川辺につどう」「冷たい風、暖かい風」
 「夜のコレクト・コール」「新幽霊屋敷」