昔から「チェーザレ・ボルジア」に興味を持っていたくせに、
これも10年程積んだままになっていた。
ようやく読んだものの上下巻とはいえ時間がかかりすぎの読書でした。
悪名高きチェーザレ・ボルジアの妹であり
兄同様悪名高き法王アレッサンドロ6世の娘でもあるという立ち位置は
それだけで波乱の人生でしょう。
そのうえ美しさを兼ね備えているとなったらもう。
権勢欲の塊のような、更に倫理観の無い法王と兄があまりに濃いキャラなので
ルクレツィアとしては翻弄される一方だが、
実は負けじと人を操ることに長けていたというのが著者の解釈のようだ。
法王や兄との禁断の関係が噂されるくらい深い絆があり
自分の美貌や立場を利用して生き抜く術も血統的に持ち合わせていたのかも。
政略的に何度も結婚させられる状況は同情するのだが。
法王とチェーザレ・ボルジアの倫理観と書いたがルネサンスの世では
それ以外の人物たちも含め現代には考えられない享楽的な時代だったようで
不倫だらけというか、結婚式での驚愕の儀式とかあり得ないよなあ。
本書で度々引用されている塩野七生の「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」はとても大好きな作品なので、そちらを再読すれば良かったかな?と
途中何度も思いながら読み続け(面白くなかったわけではないのですが)
アレクサンドル・デュマの「ボルジア家風雲録」よりは面白く読めた感じでしょうか。
実は本書を読んで一番興味が湧いたのはチェーザレ・ボルジアに忠誠を尽くした
ドン・ミケロット。
今まであまり気にしてこなかったが、なぜチェーザレにそこまで心酔していたのか。
冷酷無比なチェーザレの魅力がそこに隠されているのかもしれません。
(結局チェーザレのことばかり書いている気がする)
図書館も再開したし購入本も溜まってきたので、長年積んでいた作品の棚卸はこの辺で。