観ていないが確かに映画はあったことは覚えている。
そのシナリオを皆川博子が書いていたとは巻末を読むまで知らなかった。。。
写楽の正体は諸説あるが、本作でも役者として描かれている。
彼がどんな生活を送り、蔦重こと蔦屋重三郎と運命的に出会い、
そして人知れず写楽として独特な浮世絵を世に出し、
なぜ10か月程度で姿を消してしまったのかが皆川博子の解釈で披露される。
写楽の正体を云々する作品ではなく、ひとりの男の生き方を哀しく、
優しく、かつ緊張感をもって描きあげている。
ラストの「とんぼ」の心境と決断は映画だったら「あっ」と声を出したかもしれない。
それでいて悲しさよりも、自分の居場所を得たという安堵感と覚悟が「ピシリ!」
と伝わってきた。
これが皆川博子だ。