著者:浅羽 通明
出版社:筑摩書房
あくまで作品を解析することで星新一を語るというアプローチで
最相作品と双璧を為す力作でした。
現代の技術的、社会的状況と作品の先見性を結び付ける点に関しては
多少強引な解釈もあるが、ほぼ納得いく。
言及されている作品で記憶がぼんやりしている作品を再読しながら読みたかったが、
いつまでたっても読み終えることができないので断念した。
星新一を中学生くらいに読み、高校生になると卒業して
筒井康隆などに移行する流れが多いとあったが
確かに飽きてしまったり、刺激を求めたりするのもわかる。
でも、高校生になると「人民は弱し 官吏は強し」や「祖父・小金井良精の記」なども
楽しめるようになるし、留年し続けて読むのもまた楽しいものだ。
本書を読みながら懐かしい作品の数々を思い浮かべると、
当時の興奮や、読んでいた時の情景が自然と頭を駆け巡っていた。
今の時代に読んでもきっと色褪せないでしょう。
全部は難しいかもしれないが、時間を作って多くの作品を再読したい。