吉祥読本

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星新一時代小説集 天の巻 --星新一

星新一×松本大洋 最強のコラボレーション!
 「ショートショートの神様」が遺した傑作時代小説の数々を収録

 

と言っても絵の掲載数は少ない。まあいいか。大好きな二人のコラボですから当然見つけるなり購入しました。

 

「殿さまの日」「江戸から来た男」「道中すごろく」「紙の城」「春風のあげく」「すずしい夏」の6編です。



松本大洋の「竹光侍」(ようやく第7巻が出ましたね)から持ってきたような絵ですけど

 

星新一の乾いた文体と松本大洋の独特な絵のタッチは合っているかもしれない。

 

星新一の時代小説は読んでいる人が少ないと思うので、こんなアプローチで広がるならいいことです。

 

ただ、やはり松本大洋の絵は飯嶋和一さんとコラボってほしいです。



星新一の時代物をはじめて読んだ当時は、正直、興味は涌かなかったため、ほとんど記憶が残りませんでした。

 

最近「ほしのはじまり―決定版星新一ショートショート」で「殿さまの日」を再読した際、

 

ようやくこの作品を書いた理由の一端が、そして再々読でよりわかった気がしました。

 

製薬会社の御曹司だった頃の思いがこの作品にかなり反映されていると思われます。

 

淡々と語られる「殿様」の気持ちが痛いほど星新一の気持ちを代弁しているのです。

 

いい人だったんだなあ。そして辛かったんでしょうねえ。



その他の作品もよく読むと一筋縄ではいかないブラックさが漂っていたりして侮れません。

 

現代に通じるものが、ありまくりです。

 

星新一の作品は一生つきあっていける作品なんだと改めて思いました。

 

「地の巻」も積んだので近日中に読みます。