心霊学研究者モンタギュー博士は、幽霊屋敷として知られる「丘の屋敷」を調査するため三人の男女を
呼び集めた。まるで意志を持つかのように彼らの前に怪異を繰り広げる「屋敷」。そして図書館に隠された手稿が繙かれ、秘められた過去が明るみに出るとき、何が起きるのか?幻想文学の才媛が描く、美しく静かな恐怖。スティーヴン・キング絶賛の古典的名作、待望久しい新訳決定版。
呼び集めた。まるで意志を持つかのように彼らの前に怪異を繰り広げる「屋敷」。そして図書館に隠された手稿が繙かれ、秘められた過去が明るみに出るとき、何が起きるのか?幻想文学の才媛が描く、美しく静かな恐怖。スティーヴン・キング絶賛の古典的名作、待望久しい新訳決定版。
キング絶賛とあるのですが、正直なところそれほど怖くない。
もう少し突き詰めると怖くなるのになあ、と思うシーンもあっさりと切り上げてしまうのは
潔いと言うべきなのか。もう少し深追いしてもいいのになあ(苦笑)
この作品の持つ本当の怖さは思っていたのと違い、オカルト的なものではなく
突き詰めると人間の心理バランスの不安定さを描いているところにある。
登場人物の女性の考えている事、話している事は徐々に不快感を伴う。
「丘の屋敷」に蝕まれていく女性が徐々に壊れていくところをその場に居合わせて
実際に体験しているのであればかなり怖いと思う。(でも、そんな怖い場所にわざわざ行かないと思うけど)
ところどころ不快な会話は本作の怖さの大事な要素なので仕方が無いが、
何かが起きそうで起きない不満、思わせぶりな登場人物だった管理人夫婦の中途半端な存在感への疑問など
気になるところもあった。
終盤に現れる博士の妻の存在は本来ならば鬱陶しく、きっとこれが原因でカタストロフィーに向かうラストへの
始まりなのかと思いきや、なんだかこれも中途半端だったような。。。
古典的名作なんであろうが、これぐらいの刺激では物足りなさを感じてしまうほど
現実は刺激的になってしまったのかもしれない。
より多くの刺激を求める気はそれほどないが、読むタイミングとしては遅すぎた気がします。