吉祥読本

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どんがらがん --アヴラム・デイヴィッドスン

空前絶後の輝かしい受賞歴をもち、キプリングやサキ、G・K・チェスタトンに比肩すると評されるアヴラム・デイヴィッドスン。この才気と博覧強記の異色作家が遺した短篇を、日本の誇る才気と博覧強記の作家殊能将之が編んだ傑作選。超兵器“どんがらがん”をめぐるピカレスクスラップスティックな表題作、完璧な短篇小説「ゴーレム」、ヒューゴー賞受賞「さもなくば海は牡蛎でいっぱいに」、MWA賞受賞「ラホール駐屯地での出来事」、世界幻想文学大賞受賞「ナポリ」、新本格ミステリ的な逸品「すべての根っこに宿る力」ほか、全16篇を収録。 (「BOOK」データベースより引用)

「ゴーレム」 「物は証言できない」 「さあ、みんなで眠ろう」 「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」
「ラホール駐屯地での出来事」 「クィーン・エステル、おうちはどこさ?」 「尾をつながれた王族」
サシェヴェラル」「眺めのいい静かな部屋」 「グーバーども」 「パシャルーニー大尉」
「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」 「ナポリ」 「全ての根っこに宿る力」 「ナイルの水源」「どんがらがん」


個性的にも程がある、と言っておきたい。
訛った英語をそのまま台詞として表記したいという欲望があったりするらしいので、
翻訳者は読者以上に苦労したことでしょう。

この中で最も印象的な作品は「ゴーレム」。目の前のゾンビをここまで無視することができるなんて(笑)
この作者は凄い!と大いに期待が膨らむ。。。が、甘かった!(苦笑)

「物は証言できない」は人種差別とそれに伴う皮肉な結末を描く。

「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」はヒューゴー賞受賞作。自転車屋の話が思わぬ展開になる。
面白い!

「ラホール駐屯地での出来事」は結論が読めたが、解説を読むとキプリングの詩や基になった事件があって、
その真相を描いているらしい。理解できたつもりが本当は理解していなかった事に気付きました。

「尾をつながれた王族」は異形生物?の、ある一族の生態?もしくはある状況を切り取った作品で
どのような内容なのか想像が膨らむことこのうえない。作品の雰囲気は大好き。

ナポリ」は世界幻想文学大賞を受賞とある。
幻想的な雰囲気は感じるが、内容は理解できず。次の日読み直したが結果は同じ。。。悲しい。

「どんがらがん」は一言、変な話だなあ(笑) 続編があるようだけど、どうせならまとめて読みたかった。

好みは「ゴーレム」と「尾をつながれた王族」、そして「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」。
5月前半からポツポツと読みはじめていたので、振り返って題名だけ見ても、どんな作品だったんだろう?
というくらい印象に残っていない。
いやそもそも自分の中で消化できなかったのだから残るわけもなく。
今まで読んだ奇想コレクションで最も悪戦苦闘しました。これぞ「奇想」なのかもしれません。


デイヴィッドスンは「F&SF」誌の編集長をやっていた時期があって、
星新一の「ボッコちゃん」の英訳を掲載したとある。
1963年に史上初めてアメリカで紹介された日本のSF作品とのこと。
星新一くらいわかりやすい作品を書いてくれてもいいのになあ。
ぼやいてばかり。。。。