吉祥読本

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一外交官の見た明治維新(上下) ::アーネスト・サトウ

風雲急をつげる幕末・維新の政情の中で、生麦事件等の血腥い事件や条約勅許問題等の困難な紛争を
身をもって体験したイギリスの青年外交官アーネスト・サトウ(1843‐1929)の回想録。
二度まで実戦に参加して砲煙弾雨の中をくぐり、また攘夷の白刃にねらわれて危うく難をまぬかれた
サトウの体験記は、歴史の地膚をじかに感じさせる維新史の貴重な史料。
(「BOOK」データベースより引用)

ちびちびと11月から読みはじめてようやく最近読み終わりました。
決して目が放せないくらい引き込まれるような内容ではありませんが、
明治維新に至る日本国内の様子を外国人の視点から読めるのは貴重です。
イギリスの外交官として日本に赴任し、日本の歴史上の人物たちと直接会い、
天皇にまで拝謁できているのだから普通では考えられない日本史の証人です。

昔はサトウという名前から日系人と思っていたのですが、日系人ではありません。
けれどもその名前は日本で活動するにはかなり役立ったようです。
薩摩、長州、土佐、徳川等々、当時の政治の中心や中心になろうとしている人たちと会うのは
相当大変なはずですが、そこは外圧に弱い日本人の性格をうまく利用しております(笑)

毅然とした態度や強引な人間(国)に日本人は昔から弱いんだなあと改めて認識できます。
サトウの日記が骨格になっていて、日本の上層部に対しても結構上から目線で書いていたりしますが、
徐々に日本に愛着を持ち、上司にあたるイギリス公使の仕事のやり方に愚痴をこぼしていたり、笑えます。

明治維新にイギリスが果たした役割の大きさ、アメリカやフランスうなど諸外国間で
どのようなことが話し合われていたか、に関しては日本人にはわからない情報で新鮮でした。
日本が激しく変革する時期に、アーネスト・サトウが果たしていた役割がことのほか大きかったことが
良くわかります。
また、外国人視点による激動期の日本の市民生活なども垣間見えて興味深いものでした。

ただ、淡々としている部分が多いので歴史に多少なりとも興味のある人以外には退屈かもしれません。
実は自分も幾度か睡魔に襲われ、記憶を失っております(笑)