吉祥読本

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リメイク ::コニー・ウィリス

デジタル技術の発達でハリウッドではフィルムや役者が必要なくなり、往年のスターや映画データを
使ったリメイク作品が新作として発表されているという世界。
映画の中で本当にダンスを踊りたいという夢を抱いた少女とリメイクを行う男との恋愛ストーリーと共に、
コニー・ウィリスらしいタイムトラベルを絡ませている。
ストーリーは極めて単純だが、映画からの台詞の引用や名シーンに絡めた言い回しなどの装飾部分が多く、
わかり辛さは否めない。

 

200本以上の映画からの台詞の引用や俳優、役への言及がなされ、映画通からすれば自らの知識を
試されているかのようできっと気合が入ることでしょう。
残念ながら観ている作品や大好きな映画もありながら「こんな台詞あったっけ?」
「こんな役名覚えてないよ~」と思うことばかりで注釈との行ったり来たりの繰り返しでした。
古い映画に造詣が深く、なおかつワリと最近の映画も鑑賞し続けている人にとっては
大きな楽しみを見つけられる作品かもしれませんが、、、、

 

まあ、そんな愚痴は置いといて、映画ファンなら時代の違う好きな俳優の共演があったら面白いのに、
なんて思ったことは無いだろうか。
それが具現化できてしまっている世界は制作者側になったらこんなに楽しいものは無いだろう。
マリリン・モンロー主演でプリティーウーマンのリメイクも可能なのだ。
今のハリウッドだってリメイクだらけじゃん!と思うことは多々ありますね。
この作品は1995年に発表されており、映画好きなコニー・ウィリスが映画産業にチクリと
風刺したのかもしれません。
コマーシャルにすら石原裕次郎フレディ・マーキュリーが普通に出てきて喋ったり歌ったり
踊ったりしているのだからすでにこの作品で描かれている世界は身近にあるわけだが、
リメイクしかない世界はやはり面白くないですね。

 

新しい役者たち、映画製作者たちには面白い映画をこれからも作り続けて欲しいものです。
それにしてもコニー・ウィリスって相当な映画好きなんだなあ。