吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2014年12月の読書リスト

長い風邪が治り、ドライアイからくる眼球からの出血も落ち着いた、と思っていたらPCが不調に。
どうして12月は落ち着かないのだろう。



 2014/12/4読了
 ::決戦!関ヶ原
 葉室麟/冲方丁/伊東潤/上田秀人/天野純希/矢野隆/吉川永青
 最近読んだ山本兼一さんの関ヶ原を含め、頭が完全に関ヶ原モード。
 7人の作家が東西それぞれの武将を描く贅沢な競作。いや共作。
 吉川永青さんの描く可児才蔵が特に面白かった。
 そんな切り口もありかなと思える作品もある反面、それぞれ短さゆえ
 流してしまったかな?と感じる作品もあった。
 未読の作家さん(この中では3人)の作品を読めたので、こんな企画も
 たまにはいいかも。



 2014/12/5読了
 /アメリカ本土を爆撃した男
    ―大統領から星条旗を贈られた藤田信雄中尉の数奇なる運命
 倉田耕一
 アメリカ本土を爆撃した唯一の飛行士が、戦後アメリカとの個人的交流により
 爆撃された市の市長やらレーガン大統領やらから感謝されるという事実に驚いた。
 文体は淡々としているが、藤田氏の困難を乗り越えて真摯に生きる姿、
 報恩を尽くす姿に頭が下がる思いです。
 また、勝者ゆえとは言え、アメリカの懐の深さにも感心させられる。



 2014/12/9読了
 /帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺
 柄谷行人
 久しぶりに読む柄谷行人の著書だが、随分と読み易い。
 四種の交換様式という観点で改めて世界史、日本史をおさらいすると現在だけでなく、
 これからのことを思考する際に役に立ちそう。



 2014/12/17読了
 ::キャプテンサンダーボルト
 阿部和重/伊坂幸太郎
 最近、阿部作品を数冊読んでおいたので「モダンタイムス」と
 「インディヴィジュアル・プロジェクション」みたいな合作だったら
 相性がいいかも、と思っていたので予想通りだった。
 そのうえ「ゴールデンスランバー」の規模を広げた世界も追加された作品。
 全体的には伊坂作品寄りに感じたが、映画がらみの設定やターミネーター並みの
 追跡者との戦いは阿部さんなのかなと思う。
 ちょっと都合のいい展開ではあるが、予想以上に軽いタッチのエンタメ作品として
 楽しめた。



 2014/12/18読了
 ::ポップ中毒者の手記 2(その後の約5年分)
 川勝正幸
 三か月かけて読んでいたので感想を書くのもアレなんだけど、
 今振り返ると勝新太郎ってイイネッ!と、横山剣のように心で叫んでみる。



 2014/12/21読了
 /「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実
 門田隆将
 「死の淵を見た男」でも描かれていた吉田所長や現場の人たちの命がけの闘いは、
 何度読み返しても頭が下がる。
 取材を怠り、自らの主張を正当化するため資料の都合の良い部分を切り出し
 ストーリーを捏造する新聞社に怒りを感じる。
 吉田所長の邪魔をしただけの官邸や東電本社、そして無責任なマスコミに対して
 正しい判断ができるよう、国民の一人として今後も注視していきたい。



 2014/12/24読了
 /さようならと言ってなかった わが愛 わが罪
 猪瀬直樹
 良き同志としての奥様への思いが淡々と綴られた、読まれることのないラヴレター。
 これまでのイメージと違う一面を見た。
 色々と思うことはあるが、ノンフィクションライターとしてこれまで以上の
 仕事をして欲しい。



 2014/12/28読了
 /チャイナ・セブン 紅い皇帝 習近平
 遠藤誉
 中国の長年にわたって蓄積された複雑な人間関係と組織体系は何度読んでも
 理解しきれないが、そんな中を巧みに上り詰めた習近平の動向は、
 今後も興味深いし、慎重にその背景を考察していく必要がありそうだ。



8冊読了。