吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2018年5月の読書リスト

梅雨時期が近付き憂鬱だが、6月は自分のための時間が増やせそうな予感。
やりたいことがいっぱいあります。



 2018/5/3読了
 ::ラヴクラフト全集〈別巻 下〉
 H.P.ラヴクラフト
 遂に全集読破。
 第一巻を読んだのが1980年代だったので一体何年かかったことだろう。
 これは別巻なので別巻(上)同様、ラヴクラフトの作品ではなく別の作家の作品の
 添削、加筆、代筆したものばかり。
 解説には駄作もあると書いてあるが色々なテイストの作品集で読み易い。
 この中ではSFテイストの「エリュクスの壁のなかで」が一番面白かった。
 振り返ると、怖いぞ怖いぞと雰囲気を盛り上げてアレ?と思わされる作品が多かった
 気がするが、挫折せず最後まで読めたのだからそれだけの魅力はあるのだろう。
 勿論、万人向けではないのだが。



 2018/5/8読了
 /不時着する流星たち
 小川洋子
 不思議で残酷で哀しい短編たちは相変わらず小川ワールド。
 各物語の素となる事象が最後に記されているが、想像力というか創造力には
 恐れ入ります。
 正直なところピンと来ない作品もあったが、自分では絶対に浮かんでこないであろう
 巧みな表現力には流石ですとしか言いようがない。



 2018/5/13読了
 /月と太陽の盤 碁盤師・吉井利仙の事件簿
 宮内悠介
 碁盤師と弟子の若い棋士を主役にし、囲碁に関連する題材のミステリー仕立ての
 短編集。
 囲碁をやらないので知識が無いが、それでも随分とマニアックな内容であることは
 わかる。
 碁盤や碁石の作り方など、本物は途轍もない時間を要しないとできないものなんだ
 なあ。
 利仙の主役感が無いのと題名の事件簿に多少疑問があるが、哲学的な世界観の
 広がり方に著者らしさを感じる。



 2018/5/19読了
 /宇喜多の楽土
 木下昌輝
 「宇喜多の捨て嫁」の続編となる本作の主役は宇喜多秀家
 期待していた捨て嫁のような作品ではなかったが、父の夢を引き継ぐために世の
 流れに逆らい、苦悩する姿をきっちり書き込んでいて読ませる作品だった。
 捨て嫁で漂っていた血生臭い部分は宇喜多左京亮が一身に引き受けていた感があり、
 人を斬る際に発する震え上がるような咆哮がどんな感じなのか変なところが
 気になってしまった。
 伏線が伏線であることがわかってしまうくらい分かり易い流れだったが、
 秀家の律義さが爽やかな読後感を与えてくれた。



 2018/5/21読了
 /間違う力
 高野秀行
 高野さんらが自らの人生を面白おかしく緩~く語っていますが、
 案外本質をついていてビジネス書として読むことができます。



 2018/5/28読了
 /八甲田山 消された真実
 伊藤薫
 明治時代に起きた八甲田雪中行軍遭難事件は映画や小説で有名だが、
 原因は何だったのか?
 を元自衛官が膨大な資料を丹念に読み解いたノンフィクション作品。
 当時の上層部に対する著者の怒りが露わとなり、更に当時の文献の引用が随所に
 あり、非常に読みにくかったのは残念だが、真実をあぶり出す熱意は伝わってくる。
 隠蔽や誇張などが溢れる文書改ざんが、当時から連綿と続いているのか?
 と思わされる結果に溜息が出る。




6冊読了。