吉祥読本

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黒猫・アッシャー家の崩壊 --エドガー・アラン・ポー

「黒猫・アッシャー家の崩壊 ポー短編集I ゴシック編」

 

蘆屋家の崩壊を読んで、すかさず入手しました。6編中、再読が3篇でした。
ポー生誕200年記念で出版されたらしい。1800年代に生き、これらの作品を書き上げていた事に改めて驚嘆します。本作に納められている作品は6編。
「黒猫」/「赤き死の仮面」/「ライジーア」/「落とし穴と振り子」/「ウィリアム・ウィルソン」/「アッシャー家の崩壊」


以前「アナベル・リー」に関する記事を書いたのですが、その頃行方不明だった本がこの度ひょっこりと出てきました。
なんだか気持ち悪いタイミングですが、考えすぎでしょう。きっと・・・
ちなみに「【英和対訳 ポー短編集】  旺文社英文学習ライブラリー」(短編5編、詩2編)でした。

アナベル・リーをはじめ詩人としてもいくつかの作品を残しているポーは
独特の雰囲気を持っています。ゴシック編と銘打っているくらいですから尚更でしょうが悪く言えばまわりくどいし、よく言えば格調高い文体です。
「黒猫」は有名な作品ですが、中学生か高校生のころ読んだきりでした。
当時はそのまま受け入れていたのかも知れませんが、ネコを飼ったことが無い時に読むのと飼った経験を経てから読むのでは、だいぶ印象が変わることがわかりました。
主人公は飼っていたネコをうっかり殺してしまう、と思い込んでいたのですが
あきらかに虐待してます。可愛さあまって憎さ百倍的なものではなく単なる虐待だと思うのですが。。。
殺してしまう理由もわかるようで理解できない・・・
いや、それよりもどうして主人公は壁の中に入れてしまった黒猫に気がつかなかったのか?今になって疑問がムクムクと湧き上がります。
そこは気にしてはいけないのか、読解力が足りないのか・・・

 

「赤き死の仮面」はこの中では一番好きな作品です。
「赤き死」という疫病から逃れるため、国王は自分の関係者、友人と共に厳重に立て籠もる。
建物や装飾の色彩表現も、これぞゴシック、という感じだし、病気そのものを擬人化して恐怖感を演出するあたりは雰囲気があって今でもお見事!といえる作品です。

 

同姓同名の男と知り合い、何かというと現れ付きまとう男を殺してしまう「ウィリアム・ウィルスン」や拷問部屋での恐怖を描いた「落とし穴と振り子」など、ポーの幅広いタイプの恐怖譚はその後の小説や映画にかなりの影響を与えている事がわかります。

 

このシリーズ、今後も気になります。