吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2018年8月の読書リスト

9月になりました。仕事のことは棚に上げて、読書の秋にしたいのですが。。。

 

ようやく宮内悠介作品を全作読了。色々な作品スタイルを持つ作家さんなので、
今後はどんな作品がでるのやら。
フラナガンの「奥のほそ道」は「グールド魚類画帖」とは違う衝撃的な作品だったが、
終戦の時期に読んだことも手伝って沁みいるようだった。
図書館本を片付けてようやく待望の作品に取り掛かっています。大作なのでじっくり堪能中。
よって9月の目標は3冊です。



 2018/8/2読了
 /震度7の生存確率
 仲西宏之/佐藤和彦
 題名通り、震度7地震が発災した瞬間、そしてその後の生存率を少しでも上げる
 ための知識が分かり易く紹介されている。
 どこで遭遇するかわからないので様々なシミュレーションが用意され、解説されて
 いるので勉強になった。
 どれほど役に立つかはわからないが、知識は少しでも身に着けていた方が
 いいかなと。



 2018/8/6読了
 /超動く家にて 宮内悠介短編集
 宮内悠介
 読み始めるとすぐに阿呆だなあ、と微笑んでしまうようなバカSF短編集。
 「スペース金融道」系といえば分かり易いか。
 くだらないことをバカ真面目に描く宮内作品はやっぱ好み。
 「トランジスタ技術の圧縮」「文学部のこと」がどストライクでがっつり鷲掴みに。
 一方「アニマとエーファ」「弥生の鯨」のようなしっとりした作品もバランスよく
 配置。
 「星間野球」は宇宙ステーション内で野球盤対決なんて何だかなあと思える
 設定だが、これも締めにいい作品だった。
 著者自身の手によるあとがきも面白く読まさせて頂きました。



 2018/8/9読了
 /合成生物学の衝撃
 須田桃子
 そうか、遺伝子の編集のみならず、コンピュータ上でDNAを設計し合成生命を
 作り出すことができる時代になっているのか。
 本書で説明されている「遺伝子ドライブ」は人類にとって福音をもたらすのか
 絶望を与えるのか、人間の倫理に左右される最先端技術なんだというのが
 伝わってきた。
 軍事利用に応用される可能性を考えるとかなり怖いが人類の進歩の過程を見る限り、
 そしてアメリカの動向を知る限りその可能性はかなり高い。
 気付いたらSFで描かれてきた時代に突入していたんだなあ。



 2018/8/13読了
 /絵金、闇を塗る
 木下昌輝
 謎多き絵師、絵金を巡る連作集。
 「敵の名は、宮本武蔵」のように絵金に関わる人物を描きながら絵金を浮かび上がら
 せる手法。
 そして絵金の描く絵の妖しさやゾクゾクさせる描写、絵金の絵に魅せられ、
 狂気へと誘われる人物たちは「人魚ノ肉」の雰囲気と重なる。
 市川團十郎武市半平太坂本龍馬岡田以蔵などとの関わりを絵金の謎の部分を
 利用して上手に物語として構成している。
 この手の作品になると木下さんの筆致は冴えまくり、ギアがひとつ上がった感覚に
 なり楽しませてくれる。
 さすがです。



 2018/8/22読了
 ::奥のほそ道
 リチャード・フラナガン
 過酷な泰緬鉄道建設におけるオーストラリア人捕虜たちと管理していた日本軍人たち
 の生と死を、そしてその後の人生を重苦しくかつ冷静に綴る物語は圧巻。
 戦時の極限状態のなかでさまざまな立場の人間が生きるための行動がどのような結果
 を招くのか、多層的に描かれる物語の問いかけに答えは見つからない。
 勝者も敗者もなく正解も無いのだろうが、生きている限り考え続けろってことか。



 2018/8/28読了
 /ギケイキ2: 奈落への飛翔
 町田康
 兄・頼朝との対立に追い込まれる義経、土佐坊正尊との駆け引きや都落ちする
 チーム義経が相変わらずの縦横無尽の現代語訳で描かれる第2巻。
 ブサイクで面倒クサイキャラの弁慶や文句を垂れながら頼られると活躍してしまう
 片岡経春などの会話が面白すぎ。
 この勢いのままで読みたいので早く3巻、4巻を!




6冊読了。