吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2018年7月の読書リスト

気候は昔と完全に変わってしまいました。
従来の感覚も変えていかないといけない時期に来てしまったようです。
様々なSF作品で描かれてきた世界に近づいているのでしょうか。
何にせよ、当事者意識を持たないと本当にまずいと思う今日この頃。



 2018/7/2読了
 /カブールの園
 宮内悠介
 2編の短編「カブールの園」「半地下」共にあらゆる人種を吸収してエネルギーを
 発するアメリカに生きる邦人の心模様が淡々と描かれている。
 人種差別やドラッグなど絡ませながら世代間の葛藤や、シビアなアメリカの姿も
 描かれ、いつもと違うテイストだったが妙なリアルさで気怠い余韻を残す。



 2018/7/8読了
 /経営者:日本経済生き残りをかけた闘い
 永野健
 深く考察されていた前著「バブル」とは違い、昭和から現在までのさまざまな有名
 社長たちに関する論評をコンパクトにまとめている。
 日経で長い間、経営者と接していただけに良い点だけではなく、時に辛口なのは
 バランスがまあまあとれていて好感が持てる。
 思いもよらぬ経営者同士の繋がりもわかり、面白く読めた。
 現役の社長たちも含まれているため、今後の動向を見守りたい。



 2018/7/13読了
 /軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い
 松本創
 2005年に起きたJR西日本福知山線脱線事故の信じられない映像はいまだに記憶に
 残る。
 運転士ひとりの責任に帰すことなく冷静な検討を行い、次の事故を防ぐため根気よく
 原因を追究し、組織としての責任を明らかにした記録。
 家族を失いながら自分の感情を抑え、加害者側であるJR西日本の人間と話し合い、
 この大事故に対峙する淺野弥三一氏の姿勢には尊敬の念しかない。
 また、マスコミも事故の時だけ騒ぐのではなく、事故後のことを丹念にそして全国に
 伝えてほしい。



 2018/7/17読了
 ::象られた力 kaleidscape
 飛浩隆
 以前から気になって積んでいたが、収録4編は思っていた以上の素晴らしい作品でし
 た。
 自分の好きな分野があちこちに散りばめられていて、溢れんばかりの想像力に翻弄
 され転換の妙に唸る。
 ホラーのようなミステリーのような双子のピアニストをめぐる「デュオ」、
 イメージがなかなか追いつかなかったが深く精緻なストーリー構成の表題作が特に
 面白かった。
 「夜と泥の」「呪界のほとり」も映像が浮かぶような描写で楽しませてくれた。
 また読まないといけない作家が増えてしまったな。



 2018/7/22読了
 ::ギケイキ: 千年の流転
 町田康
 源義経自身が破天荒な現代語で語る「義経記」。
 「辺境の怪書~」で紹介された本で最も手軽に読めそうなのでチェックしていたら
 文庫がグッドタイミングで並んでた。
 あまりに軽い文体に正直読みにくいなと思うこともあったが慣れると当時は案外
 こんなもんか?などと思えてくる。
 終盤になるにつれ加速度的に面白くなり、木曽義仲との会話にツボをつかれる。
 文体に気を取られがちだが、わりと忠実に物語を追っていることが伝わってくるので
 苦手感がある人にはいいかも。
 「ギケイキ2」も出たようだし、今後も楽しみ。



 2018/7/26読了
 /ほぼ命がけサメ図鑑
 沼口麻子
 著者のサメへの愛情がたっぷりと感じられ、とても楽しめる作品でした。
 図鑑ではありませんが。色々なサメが紹介されているが、いまだに謎多き生物なん
 ですねえ。
 驚きがいっぱいでした。
 それにしてもこの本で紹介されているサメ好きの子供たち、きっと大人になったら
 世界的に凄い研究者になっていそうで将来が楽しみです。



 2018/7/30読了
 ::下町ロケット ゴースト
 池井戸潤
 最近の池井戸作品にしては厚みが無いと思ったら続編があるんですね。
 今回はそのための前哨戦のような作品でした。
 殿村の実家の件や財前の動向やら島津や伊丹の決断など、今後のストーリー展開の
 伏線が張り巡らされて終わりだったので早く伏線の回収を読みたい。
 展開はある程度予測できるのですが、ちょっと苦味が加わりそうな感じでしょうか。



7冊読了。