吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

零號琴

著者:飛浩隆
出版社:早川書房

 

特種楽器技芸士と相棒のドタバタSFって表現は単純に過ぎるかもしれないがある意味予想を裏切られた展開だった。
「美縟」という惑星の首都で行われる開府五百年祭で想像を絶する巨大楽器の演奏、住民が参加する假劇やら描かれる世界はイメージを追いかけるのがやっと。
グラン・ヴァカンス同様、緻密に作り上げた世界の崩壊やグロテスクな描写など圧倒される。

 

「あしたもフリギア!」の世界に入り込めなくて苦労したが様々なアニメ作品へのオマージュが盛りだくさんなことは理解できる。
もちろん全てのネタが理解できたとは到底思えないのが残念だが、これを理解できる人たちはかなり限られるのだとも思える。
読み終わるとフリギアを絡ませなくても良かったような気がするが、理解できない自分の悔し紛れと言われればそれまでか。

素直に面白い作品とは言えないが、著者の持つ感覚の一端を感じる作品だった。


2019/5/21読了