吉祥読本

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怪物がめざめる夜 --小林信彦

小林信彦の作品との出会いはとても古い。人生で一番最初にはまった作家だと思う。
子供のころ夢中で読んだ「オヨヨ」シリーズは、残念ながら手元に見当たらない。
友達から借りたのか、図書館で借りたのか、今では記憶が定かではないが、
軽妙な展開がとても魅力的だった。
読書の楽しみを教えてくれたといっても過言ではない。

その小林信彦の作品で大人になってから読んだ「怪物がめざめる夜」は
「オヨヨ」シリーズとは全く毛色の違うミステリーというかホラーかな。
別に幽霊のたぐいが出るわけではないが、一番怖いのは人間だということ、
それが突然自分に降りかかってくるかもしれないう恐怖は、計り知れない。

今はインターネットの普及でだれもがメディアを持つことが可能になった。

この作品の真の恐怖は、ラジオの時代よりもむしろ今のほうがより身近に
感じられるのだと思う。

「怪物」は今、いたるところで目覚め始めているのかもしれない。